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女友達  作者: violet
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 二人は立ち上がってファミリーレストランを出た。しばらく徒歩で歩いていくと、やがて団地に入り、そしてアパートの一室に入っていった。


 私はショックのあまり写真を撮るのを忘れてしまった。しかし、決定的である。きっと部屋の中でイチャイチャとしているに違いない。そして家を出たときには付き合いたてのカップルのように仲良くなっていて、玄関にてお別れのキスを見せつけてくれるのだろう。私はその瞬間を撮るのだ。


 御飯3合分が炊けそうなくらい時間が経った。不倫の決定的な瞬間を撮影して、私はそれからどうするべきだろうか。写真を見せつけて、それで別れるのだろうか。結婚してまだ一年も経っていないというのに、それはあんまりである。


 なら彼に改心してもらうしかない。しかし、私は彼を信じられるのだろうか。何せ一度裏切った人なのだ。不倫はしてはいけない。子供でも判ることを彼が知らない筈もなく、つまり明らかな裏切り行為を彼は行っていて、そんな彼を信じられるのだろうか。


 無理だ、と私は思った。だって不倫中の彼の態度は凄くそっけなかった。私が気にしている友達がいないことを突いてくるなんて酷すぎる。きっと彼は私に飽きてしまったのだ。


 アパートの一室の玄関が空いた。さてついに決定的瞬間を撮る時間がやってきたのだ。


 しかし予想外のことに、出てきたのは何故か女性二人である。片方はついさっきまで旦那と一緒だった若い女性。そしてもう片方は全く知らない女性である。しかしどことなく見覚えのある容姿をしている。


 私は一時撤退を余儀なくされた。だってどう考えてもあの女性は私の旦那なのだから。

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