出会いと説明の一日目その三
「二人以上居るチームは、トーナメント方式で戦ってもらうから俺のところに申請しに来てくれ。それじゃあ、対戦が決まるまで五分ほど自由にするから、チームメンバーと交友関係を深めてくれ」
五分か...さっきまともに話したばっかりで、悠花の事は全くと言っていいほど知らない。さっき、陰口を言っていた生徒は『最強の剣』とか言ってたけど...中学校では有名だったのだろうか。剣道で世界一とか...ってそんな相手に俺は勝てるのか?異能が百点とか言ってたよな...無理じゃないか...
「五分間ずっとこうやって黙ってるのも暇ですし、中学校時代の話でもしますか?」
「そ、そうだな。中学校時代か...何やってたっけ?」
「私が分かるわけ無いですよ...」
「えーと...悠花はどんな生活を?」
「私ですか?うーん...ずっと一人で異能の訓練をしてましたね」
「一人で...って友達と遊んだりなんかは?」
「まず友達がいませんね。学校もあまり行っていなかったので」
「なんか...ごめんなさい」
「私から振った話題なんですからいいんですよ」
頭を下げる俺を見て、悠花がそう言うと二人ともまた喋らなくなってしまい、訪れるのは沈黙だった。またかよぉ...と心が泣きそうになるのを必死にこらえ、何とかして話題を探す
「えーと...あ!さっき、聞こえたんだが悠花って最強の剣っと言われてるらしいが何でなんだ?」
「最強の剣ですか...面白い二つ名を考える人もいるんですね。その話は、私に勝ったら教えてあげますよ。そろそろ時間なので整列しましょう」
「気になるし、そういう事なら勝たせてもらうぜ。賭けに持ち出したこと、後悔すんなよ?悠花」
「そちらこそ、敵に対して勝たせてもらうぞなんて負けた時に言わなきゃよかったと後悔なさらぬように。リン」
二人とも、顔を見合い微笑みかけた。整列をし、戦う順番を聞かされた俺達はその後も雑談しながら順番を待っていた
「1-2藤宮凛太郎、1-3一之瀬悠花、Aコートにて試合を行いますのでお集まりください」