表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/27

大坂

しんどい。歴史系小説ってこんなにしんどいものでしたかね?

1558年12月9日、親泰はこれより2か月前から摂津国に滞在していた。理由はただ一つで戦後処理の一環である内政を取り仕切るためだった。

手始めに完全に廃墟と化している石山御坊の取り壊しから始まり、それをさっさと終わらせると、直ちに新城の築城を始めた。当時の城においてはどれよりも大きなものであった。

豊臣大坂城のような大坂城が作られており、壁などは高価なコンクリートで鉄筋の代わりに竹を使用して造られている。

これを3年かけて築城し、今後は親泰が滞在し東に睨みを利かせることになっている。


数年前、親泰は閃いた。

「そうだ、毛織物で儲けよう」

と。しかし、毛織物を作るには羊などの動物が必要である。そのため輸入した。すぐに羊と道具を輸入して羊の飼育と生産を開始した。これらの生産は工業制手工業によって行われ、現在は土佐でのみ工場が稼働している。

生産開始から長宗我部家が前々から開発していたジェニー紡績機が使用された。これによって毛糸や麻の糸は大量生産が可能となった。

さらにそれを織物として仕立てるために普通の杼を使っていた機織りは飛び杼の開発成功によってこちらの大量生産も可能に。これによって長宗我部は大量の織物を使った貿易や商売が可能となり、国内では織物の価格が下がったとか何とか。

そんな適当な考えで始まった二軒目となる織物工場は今後の事も考えて淀川周辺に作られることになり、淀川の治水も始まっていた。


そして、親泰は産業革命を求めていた。しかし、それには蒸気機関が足りない。ということでこれは改革開始当初から開発中である。代わりにスターリングエンジンは製造したが、スターリングエンジンを使うよりにあまり用途はなかった。精々水の汲み上げくらいである。

そもそも現在の技術力である程度の精度があるものを作れるかどうかが問題だった。幾ら高炉も造り、コークス炉も造り、グリボーバルシステムも理論研究が完了し現在建設中。同じく、反射炉も現在土佐に建造中であった。これによって製鉄に必要な建築物は揃った。それに土佐、讃岐、阿波で多数の炭鉱を発見した。質はともかくとしても、資源が見つかるのは都合のいい事だった。


次に後装式ライフル銃である。これはライフリングが非常に難しい。しかし、雷管や銃構造自体は理解が出来さえすれば製造自体は大したことではなかった。

さらに問題は山積みで、初期の雷管はよく兵士の指を装填中に吹き飛ばすという茶目っ気すら感じることの出来ない事故が発生する。そして、水銀中毒の問題がある雷酸水銀ではなく、ジアゾニトロフェノールを火薬として使用したいのだが、このジアゾジニトロフェノールというのは曲者で、戦国時代においては製造が大変に難しかった。確かに濃硫酸や濃硝酸といった物は入手しており、B火薬というニトロセルロースを使用した火薬すらも製造できてしまっている以上、長宗我部家に作れないものはないんじゃないかと思われるかもしれないが、これを精製するにはフェノールから作る必要があった。


まず、コールタールかベンゼンを使用する。ベンゼンでの精製方法は、まずベンゼンに濃硫酸を加えてスルホン化する。そして出来たベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウムで中和し、ベンゼンスルホン酸ナトリウムを精製する。さらにそれに固体の水酸化ナトリウムを加えてアルカリ融解して、ナトリウムフェノキシドを精製する。最後にそれに二酸化炭素と水を加えてフェノールの出来上がり。ちなみにベンゼンはコークスの製造過程において副産物として生産できる。

ということで、酷く面倒なのだ。第一水酸化ナトリウムも生産する必要がある。とても採算の取れるものではないし、面倒で誰もやりたくはない。

しかし、取りあえず親泰はそれを生産してみることにした。

最近、自身が持ち込んだコントローラーの存在を思い出し、掴んでみると空中にプロジェクターで表示したようなポップアップメニューが現れた。その左下にスキルという項目があったのだが、最初に見た時には空白であり何もなかった。しかし、今見るとスキルが増えており、合わせて5つほどあり、その中の一つに『化学』とあった。説明文を読んでみれば、これらの化学物質の精製が材料さえあれば自動的に可能というもの。これは便利であると思い、今回使用してみることにした。親泰からすれば正直使いたくないもの。出来れば己の知識のみでやっていきたかったのだが、結局のところそうもいかなかった。

そして試運転した乾留炉から製造されたコークスの副産物のベンゼンと必要な材料を全て机に準備する。そして、その状態でスキルを使用する。すると、全てがどういう原理かで化学反応による精製がなされ、空き瓶にフェノールが入っていた。

それを濃硫酸と濃硝酸を混ぜてニトロ化してピクリン酸を精製する。しかし、その後の作業が面倒すぎるので割愛する。そしてなんやかんやがあってジアゾジニトロフェノールが完成する。これほどの作業を行って火薬などは作りたくないだろう。

もはやここれだけで本が1冊かけそうなほど面倒であるので、ここは大人しく雷酸水銀を製造することにした。雷酸水銀なら生産はまだ簡単であるので、作り方さえ間違えなけれ問題はない。


スキル『化学』のもう一つの機能である、材料があれば実験器具の生成が出来る。ということで、ビーカーやフラスコ、スポイトに温度計といった物を製造した。これは主成分さえあればいいので、土佐にあるガラス工場からガラスを仕入れて大量に生成したが、デメリットもあり、ステータスにある青色のゲージを使い切ると動けなくなるので、実験器具だけは全て夜に眠ってもいい布団の上で近くに材料を置いて生成した。それを1週間に1回の頻度で作って、ある程度の生成が完了したので中止した。


その後、化学薬品を精製するための道具も作ったり、作らせたりした。

平手の爺さんがえらい多くの能力を保持していたので、こちらも5つほど。

その先発としてスキル『化学』でした。


本編での説明通り、化学物質の精製を自動化。さらに化学分野の研究に使用する道具の生成です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ