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銃と剣

今更ながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 1557年12月上旬。親泰は新たに開発された新装備を見るため、岡豊城にある武器開発所に来ていた。用件は種子島に装着する武器が出来た、との事。親泰はこの武器開発所には多額の予算を割り当ててきた。特に火縄銃の改良にである。これは親泰の改革開始の半年後には実行に移され、現在では延べ82人が毎日研究を続ける場所となった。数年前に、火打石を使えばもっと有用性のある武器を作れるのではないか、と1人の研究員が閃き、予備費を崩して西洋から大量に火打石を輸入し、現在も研究が続けられている。それとは別に、刀を持たない者でも白兵戦を戦い抜けるよう、親泰は銃剣の開発をこの開発所に命じた。そして2年かけてとうとう完成したのだ。

 しかし開発したものが現代の日本のヘンタイ技術を思わせるものだった。

 いや、想像したような変な物を開発したわけではなく、色々工程を飛ばしている。銃剣とはフランスの農民がマスケット銃にナイフを刺して戦った事から始まる。そして多種多様な銃剣が開発され、装填も出来るようになったのがソケット銃剣である。今回はそのソケット銃剣を作ってしまっていた。

 これには親泰も反応に困ってしまい、誇らしげに説明をする研究員の話が半分以上入ってこなかったという。

「どうです? いいでしょう。そこらの大名家とは技術が違いますよ」

「そ、そうか。これからも頼む。ところでフリントロック式はどうだ?」

「そうですね……。国産の火打石の質が悪いので、火打石を元に戻せるようになれば簡単なんですが……。ところで銃剣は如何程製造予定で?」

「そうだな。10年後には4万本の配備完了を目指すから……年間4000本は欲しい」

「また、難儀な事を……いいですか、今長曾我部領内には刀鍛冶が181人います。それで年間4000本は……いや、行けるかな……? 2日に1本でも……あれ、行けそうだな。やっぱり大丈夫です!」

「そうか、では頼んだ」

「お任せを! すぐに刀鍛冶に指示を出してまいります!」

 親泰が帰った後、研究員はすぐに刀鍛冶の密集地帯である武器製造区画の方へ向かい、大量の試作品や設計図を持っていき、製造の指示を出した。火縄銃による戦場の台頭でめっきり出番の減った刀鍛冶は、喜んで銃剣の製作に移った。一週間後には約1100本の銃剣が納品されることになるとは、親泰自身夢にも思わなかった。




 翌日、親泰は開発所で受け取った銃剣を火縄銃に装着して兵士に訓練として使わせていた。

 銃剣は、ナイフ型で外側に向いているため装填時に怪我はしないようになっている。

「どうだ?」

「使いやすいです。無駄な動きがないので疲れませんし、刺すとなれば頭や首が積極的に狙えますね」

「そうか。なら、訓練を積めば実戦投入できそうだな。では終わりだ。ゆっくり休んでくれ」

 兵士から火縄銃を受け取ると、銃剣を外し鞘に仕舞い、片付けをした後いつもの書類地獄に戻って行った。


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