番外編 1
ちょっとした番外編です。とはいっても、前話の保護がどう現代に生きたか、簡単に書いただけですが……。
ここは某進学校。現在2—Aでは親泰に関する授業を行なっていた。
「長曾我部親泰。後の香宗我部親泰は1557年11月未明に紀伊山地のニホンオオカミを数十頭捕獲、土佐に連れ帰りそれを予め建設しておいた施設にいれ、保護しました。目的はここの親泰日記の写真に書いてある通り、保護と軍用犬として躾ける事。他にもマタギ犬や北海道犬も同じように育てられました。北海道犬は今でも数が多いですが、ニホンオオカミは現在施設には多数いますが、九州や本州、四国では狩猟によって絶滅されたとしており、九州や本州、四国では動物園でしか見る事が出来ません。高知県もニホンオオカミを、動物園以外に譲渡する事を禁じています。現在は高知県もニホンオオカミを野生化させ、厳しい自然の中で生活できるようにしようと、努力を続けていますが、実現には至っておりません」
そう説明すると同時にチャイムが鳴った。
「では今日はここまでにします」
終わりの挨拶の後、教師も出て行き教室内は喧騒に包まれた。
現在でも初代施設は文化財として現存しているが、500年近く経っているため、数十年に一度、修復作業が行われている。そしてその施設の隣には猫を抱えた親泰の銅像が立っており、その傍らにはニホンオオカミが寄り添うように座っていた。
その銅像は太平洋戦争での徴用時に運ぼうとすると、怪我をするものが続出し、1921年の設置以来その位置を動かず、銅像もその当時のもののまま変わっていないという。




