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第6章 接触編 3.戸惑い


 弘子は、克彦がクリスマスに何もしなくてよかったのか心配していた。我慢したのではないかと思った。同時に、なぜ自分がそんなことを心配しているのか不思議だった。

 ひたすら安らかで静かで優しいだけの時間。確かに最高のクリスマスだった。でも、弘子の心にはずっと何かが引っかかっていた。

(2つある、って言ってたけど…)

 弘子は克彦の言葉を思い出した。2人でそっと肩を寄せ合って過ごした時間は、幸せのひとつの形。でも、もうひとつ…。克彦の気持ちがわかる気がした。本当は、自分の中にも2人いる。そして、その2人は、多分それぞれが克彦と同じ気持ちを持っている。弘子はそのうちの1人を克彦に隠している。自分自身に対しても隠している。

 弘子は考えないことにした。なんだか、考えることさえ怖いような気がした。

 一方、克彦は自分がクリスマスに何もしなかったことに満足していた。弘子の安らかで幸せそうな顔が嬉しかった。

(いつも、俺が欲しがるばっかりで、弘子さんに無理をさせてるな…)

 克彦はため息をついた。

(一緒に歩いて、ゆっくりたどり着かないといけないのかな…)

 そう思って、克彦はもっと大きなため息をついた。弘子のペースでは、永遠にどこにもたどり着けずに漂流を続けるような気がした。


 克彦は久しぶりに高校時代の親友、八坂和宣と会った。

「相変わらず、鈴木さんとはうまくいってるの?」

 克彦は和宣に相談を持ちかけようと、そんな話から入った。和宣はすぐに克彦の意図を読み取り、お手本どおりの返事を返してあげた。

「ああ、おかげさまでつつがなく。そちらは例の彼女とどうなの?」

「はあ、おかげさまでつつがなく…。でも、現在非常に現実的な問題に直面してまして」

「現実的?」

「うん、体のつきあいに関して、煮詰まってるの」

「何、燃えないの?」

 克彦はびっくりした。

「ちがうよ、まだそこまでいってないよ、どうやって一線を越えようかって問題だよ」

 今度は和宣がびっくりした。そして指を折って数える仕草をして、

「つきあい、どのくらいになるっけ?」

 と言った。克彦は即答した。

「1年4ヶ月」

「よく我慢してるな~おまえ。少女漫画の遠距離恋愛だってそこまではナイだろ」

 和宣は頓狂な声をあげた。克彦はそこまで驚くことじゃないだろうとしか思わなかった。

「そう?」

「すごいすごい。さすがに高校時代からストイックな山根君ですな」

「全然、ストイックじゃないよ。それならこんなこと、悩まないよ」

 和宣は、克彦の大マジメな様子に笑いをこらえきれなかった。

「で、山根君は、あれから1年4ヶ月かけて、がんばってどこまで進めたんですか?」

 克彦は渋い顔をした。

「また、そうやってからかうわけね。ちょっと自分の方が先輩だって思って」

「大先輩だろ」

「うん、…頼りにはしてる。今、彼女とはね、なんとかキスまで行って、それから、ちょっと…服の上からは触ったりもしたけど、そこでピタッと…」

「がんばってるね~」

 和宣はいよいよ大笑いした。

「あのさー…。笑わないで、話聞けないの~?」

「ゴメン、どうしても、おまえがその色男ヅラで、中学生みたいなことをもじもじ言ってるのがおっかしくて。おまえがビン底眼鏡のダッサいデブとかだったら心から同情して親身になってやるけどさ~」

「じゃあ俺のほう見ないで、ダッサいデブだと思って親身に聞いてよ」

 和宣はまた大笑いした。克彦はもっと憮然とした。

「ひとつ言っておく。脱がせたときは絶対に逃すな」

「え、そうなの」

「女はめんどくさいから、OKと思っててもなんかの拍子でダメって言い出すゼ。だから、言ってることは気にするな。脱がせられるようなら絶対に女の方もその気だから。やってみりゃわかるけど、協力してくれなきゃなかなか脱がせらんないから」

 克彦はうーんとうなってこのうえなく神妙な顔をした。

「…大丈夫かなあ…。多分、怖がると思うんだよね…」

「怖いのはしょうがないじゃん。それであきらめてたら、永遠にできないって。ある日突然彼女が怖がらなくなってたら、他の誰かと乗り越えちゃったってことじゃん?」

 克彦は恐怖をおぼえた。もたもたしていると、自分が恵梨とホテルに入ってしまったような事件事故が弘子にも起こる気がした。だからまず、弘子の服を一枚とることから始めようと思った。


 しかしなかなかそういう機会もなく、計画は難航した。外で会えば人目があるし、家で会えば家族がいる。克彦は真剣に一人暮らしをしようかと考えたが、弘子を引っ張り込むためにそこまでするのはあまりにもみっともなく思えて、結局やめた。

 1月も終わろうという夜、克彦は弘子を都庁の広場に連れ出した。かなりの寒さの中、たむろしている若者もカップルもいなかった。広場の奥の死角を見つけ、克彦は肩を抱いて弘子をさりげなくそこへいざなった。

 克彦はいきなり弘子を抱きしめた。弘子は雰囲気を感じ取っていたので、おとなしく抱きしめられた。克彦が32センチの距離をかがみ込んできた。弘子は一瞬戸惑ったように視線を泳がせ、目を閉じた。

 克彦の気持ちのこもった熱いキスを受けているとき、弘子はコートの前が軽く払われるのを感じた。何、と思った途端、セーターのすそから何かが飛び込んできた。驚く間もなく、克彦の手がセーターの下で胸に触れた。体が人目をのがれるように抱き寄せられた。

 弘子が「どうしよう」と迷っていると、コートに隠れて克彦の手は弘子の服にもぐり、狼藉を働いてきた。

「お願い、ダメ…」

 必死で嘆願したら、なんとか止んだ。素直に掌は離れた。

「…もっとしたい」

 克彦は弘子を感情に任せて抱きしめ、切実な声で訴えた。弘子は一生懸命首を横に振り、コートの前をかき合わせた。

「我慢するけど…ホントは、もっとしたい。もっと欲しい」

 克彦の腕が切なく弘子を締めつけた。弘子は、克彦のもどかしいような腕の動きをぼんやりと受け止めていた。最初に自分が、「ダメ」じゃなくて「人が来るからダメ」と思ったことに気付いていた。見て見ぬふりをしたかったが、それが事実という自覚があった。

 二人とも、いつまでも緊張と興奮が醒めなかった。克彦は弘子に触れた掌を握りしめた。初めて直に触れた感触が逃げてしまいそうで、もっと強く握りしめた。


 二度目のバレンタインについては、電話で決めた。

「どこかに行きましょうか?」

「車出そうか?」

「そんな、私が先輩にプレゼントする日なのに、運転なんかさせられないですよ」

 克彦は弘子のさりげない逃げ口上に感心した。いつもこの調子で逃げられてしまう。

「弘子さん、もう受験でしょ? ジャマしたくないし…夕方にちょっとだけ会おうか。俺、もらいに行くよ。受け取ったらすぐ帰る」

「え、そういうわけには…」

「往復の時間が無駄になっちゃうから、俺が行くよ」

 克彦は自分の希望を通しきり、内心で「やった」と思った。2月15日には受験がないらしいから、2月14日の夜に何事かあっても、1日あれば気持ちを切り替えられるだろう。勝手だろうか。

 バレンタインの日、弘子は受験初日で、しかもいきなり第2希望の大学だった。一日かかる長い試験をなんとか終え、帰宅すると、克彦は約束どおりにやってきた。

「どうだった? 受験」

「結構、問題が素直だったんで、私だけじゃなくて、他の人もできたと思います。だから合格するかどうかはわかんないですね…」

「ふーん。でも、俺は、ここの問題は簡単だなって思ったとこが受かったよ。なんかね、縁みたいなものだと思うんだ。試験問題とも相性が合うっていうか」

 それから、弘子は克彦が受けたのと同じ大学を何校か受けるので、その話を聞きたがった。克彦は2年前のことを思い出して一生懸命話をした。

「そういえば、今日のメインイベントを忘れたら大変ですから、待っててください」

 弘子は階下に下りていき、小さな箱を持って上がってきた。

「すみません、今回は、ちょっと手抜きで…。去年のより時間かかってないんですけど」

 中身はトリュフで、チョコにバターを混ぜて溶かして丸め、ココアを振っただけのやや大ざっぱなものだった。

「ううん、なんでもいい。どうしようかな、去年のケーキは家族でいただいたんだけど…」

「えー!」

 弘子は、克彦が何気なく告げた衝撃の事実に、世界が終わるかのように動揺した。

「大丈夫、半分以上ちゃんと自分で食べたよ。でもね、俺、家族にちゃんとキミのこと言っておきたくて。全部俺が食べなきゃダメだった?」

 弘子は呆然と克彦を見て、

「…いえ、あの、…ご家族は、それで…何か…」

 と訊いた。ケーキの出来で品定めされるのは困る。

 克彦は両親からのプレゼントを思い出して後ろめたくなった。ベッドの引出しの文庫本に挟んだ贈り物は、まだそのままになっている。克彦は視線を外してもぞもぞと答えた。

「いや、別に、ちゃんとしろよって言われただけ…」

 弘子は、今後は家族に分け与えられないようなプレゼントにしようと思った。克彦は、

「ゴメンね、せっかくのケーキ、人にあげちゃって…」

 と見当違いな詫びを言った。

「それでね、弘子さん」

 克彦はにっこり笑って本題に入った。

「チョコレートもすごく嬉しいんだけど、もうひとつ、お願い」

 克彦は腰を浮かせて弘子ににじり寄った。

「え、…な、なんでしょう」

 弘子はじりじりと近づいてくる克彦に呼応するように膝であとずさった。

「あのさ、5ヶ月近く、キミの愛の言葉を聞いてないんだよね、俺」

 克彦は弘子の焦りを軽くかわした。でも、そんなのはただのフェイントだ。

「いや、あの、その…」

 弘子は身体的な要求じゃなかったのでとりあえずホッとしたが、言語的な要求は長年、最も苦手とするところだった。弘子はあっけなくつかまって胸に抱え込まれた。

「あの、言わされて言うのは、なんか、ウソっぽくないですか?」

 弘子はうろたえた。克彦は笑顔で弘子の目の前に顔を近づけた。

「海に行った時の続きみたいだよね。なんだか」

 突然腰に手が回ってきて勢いよく引かれ、ひっくり返りそうになった弘子を克彦の腕がうまく受け止め、そっと畳の上に横たえた。克彦は弘子の腕を片方ずつ丁寧につかんで引っ張り上げ、ホールドアップの姿勢をとらせて押さえた。

 克彦は弘子に軽くキスをした。弘子は動揺に視線を迷わせながら、

「今の、下に響いたかもしれないですよ。お母さんが来るかも…」

 と言ってみた。克彦はしばらく聞き耳を立てて、

「うん、大丈夫みたい」

 と言った。そしてにっこりと満面の笑みを見せた。

「じゃあ、言おうか、俺のこと好きだって。バレンタインデーだもん」

「…だって、先輩だって、脅迫みたいにして言われても、嬉しくないですよね」

 緊張の面もちで言い訳をしている弘子に、克彦はもう一撃、軽いキスをお見舞いした。弘子はびくっと目を閉じてキスを受けた。

「脅迫なんか、してないよ」

 克彦は相変わらずの笑顔で弘子の顔をのぞき込んだ。

「それとも、言わないと俺が何かすると思ってる?」

 弘子は息をのんだ。克彦は耳元に唇を近づけると、囁くように言った。

「じゃあ、何かしようか?」

 好きだと言ってくれるならそれもよし。言わないならそれを逆手に取って攻め込むのみ。どうせなんだかんだと言い返して、好きなんて言うわけがないのだから、絶対にこうしてやると克彦は幾分自虐的に戦略を立ててきた。思った通りに運んだのは正直、ちょっと寂しかった。あっさり「好きです」と言われてその先をあきらめるのも悪くなかったのに。

 克彦はゆっくりと弘子の首筋に唇をつけた。そして首筋に沿ってゆっくり何度もキスをしながら降りてきた。弘子の手首がかすかに動いたが、克彦は力を込めて押さえ込んだ。

(…因幡の白うさぎ、かな)

 克彦はくすっと笑い、うさぎの皮をはぎにかかった。白いセーターは丈が少し短くて、克彦の手はすぐにセーターの下に潜った。弘子は目を閉じて歯を食いしばっていたが、泣いてはいなかった。それだけ確かめると、あとは無慈悲に体を撫で、弘子を探っていった。やっぱり弘子は南極に放り出された子犬のように震えることしかできなかった。

「弘子さん、感じてくれたんだ…」

 克彦の声が何を言っているのか理解できずに、弘子は究極の戸惑いの中、ゆっくりと目を開けて克彦の視線を探した。克彦は弘子に視線を返したが、弘子の表情の示すものが何なのかわからなかった。弘子も克彦の言葉が理解できなくて悩み、かといって問いかけることもできずに視線を迷わせた。

「感じてないの?」

 弘子はゆっくりとうなずいた。全然そんなつもりはない。というより、「わからない」。

「でも…」

 克彦は弘子の体の奥を強くなぞった。弘子の体が跳ね、「痛い」とかすかに言った。

「あ、ゴメン…」

 克彦は少し力を弱めた。

「でも、弘子さん、ここ…濡れてるよ」

 弘子は克彦の言うことがどうしてもわからず、ぼうっと克彦の顔を眺めていた。されていることは恥ずかしかったが、どうしても何を言われているのかがわからなくて、克彦に問いかけたかった。

「弘子さん、もしかして…こういうこと、全然わからないの?」

 克彦の言葉に、弘子はかすかにうなずいた。克彦はゆっくり弘子を自由にした。

「そっか…」

 克彦は弘子の上体を抱き寄せ、弘子の顔を胸元に隠しながら言った。

「弘子さん、こういうとき、体が反応するのは男の方だけじゃないんだよ。あのね…」

 克彦は優しく説明してあげた。弘子は返事をしなかった。何もかもが突然すぎたし、難しすぎた。

「全然そういうの、知らないんだ。俺にこういうことされて、キミの体はちゃんと反応してたんだよ。俺のこと、受け入れる準備をしてくれたの」

 弘子はかすかに首を横に振った。

「わかんない? 納得いかない?」

 弘子はうなずいた。

「うん、じゃあいいよ、まだわからなくても。…でも、俺は嬉しいよ。いつかわかるよ」

 克彦は優しく弘子の髪を撫でた。

(こんなことも知らないんじゃ、ついて来られるわけないよな…)

 罪悪感にかられたが、弘子の変化はとてつもない感動だったし、弘子がやっぱり男を知らないことも感動だった。ここから無粋に攻め込むような男ではありたくない。まずは一つの成長を促して、少しずつ…。

(早く女になろうね、弘子さん…。俺が教えてあげるから…)

 克彦は心の中で語りかけた。そして弘子の髪を優しく撫で続けた。弘子は克彦の胸の中でちょっとだけウトウトした。遠くで克彦の声が何度も聞こえるような気がした。

『キミの体はちゃんと反応してたんだよ。俺のこと、受け入れる準備をしてくれたの』

 そんなことはないと弘子は思った。目が覚めて、克彦の瞳を一生懸命探した。優しい瞳をやっと探し出して、弘子はぎゅっと抱きついた。克彦は弘子を強く抱き返した。


 弘子は一夜明けて落ち着かず、遥子に電話をかけてみた。「受験が終わってからでいいから」と前置きして相談に乗ってほしいと言うと、遥子はすでに推薦を取って受験が終わっているという。

 弘子はすぐに遥子に会うことにした。遥子の最寄り駅で落ち合い、喫茶店に入った。

「で、何よ。アンタはまだ受験でしょうが」

 遥子はぶっきらぼうに言ったが、久しぶりに友人と過ごす時間がとても嬉しそうだった。

「…うん、でも、このままじゃ受験にならない」

「恋の病? 女が勉強が手に付かないのは、恋の悩みと生理痛くらいでしょ」

 弘子は渋い顔をした。

「何よ、違うの?」

「…いや、実は違わないけどさ、それってあんまりな言い方じゃない?」

 弘子の顔を見て、遥子は笑った。

「で、今更何の恋の悩みよ。他に好きな男でもできた?」

「もう、冗談はやめてよ」

「冗談じゃないよ、別に。山根先輩が弘子にとってベストとは限らないんだしさ」

「他の男なんて、かけらも縁がないよ。そういうのじゃない。実はさ、かなりきわどい話で恐縮なんだけど…」

「きわどい話? あれ、弘子、まだ山根先輩ときわどくなってなかったんだっけ」

 弘子は少し黙りこくってから、

「…いま、きわどくなり中」

 と言った。遥子は「おお」と感嘆の声をあげ、大まじめな顔で乗り出した。

「そっか、力になれるかわかんないけど、多分弘子よりは詳しいよ。話してよ」

「うーん、…もったいぶってもしょうがないから、勢いで言っちゃうけど…」

 そう言いつつも弘子はさんざん言い渋った。やがて、遥子がすっかりあきれ果てた頃にやっと小さい声で言った。

「あのさ、女性のほうもそーいうことをするとき、体がどうにかなったりするもんなの?」

 遥子は弘子のそんな漠然とした言い方に「うーん」と考え込んで、

「何、感じちゃったら、てこと?」

 と訊き返した。弘子は通じたことにホッとして、何度もうなずいた。

「あのねー、言っとくけど、私だってまだ経験してないんだから、単なる知識だよ?」

 遥子は困ったように言った。弘子は単なる知識で構わなかった。他にこんなことを訊ける相手は思い当たらない。佳美とかおりには恥ずかしくて言えない。

 遥子は全くオブラートに包まずにハッキリと言ってのけた。

「息が荒くなって、乳首が立って、アソコが濡れるんでしょ?」

 弘子は恥ずかしくてテーブルに突っ伏した。

「何よ、失礼ね。アンタが訊いたんでしょ?」

「…ゴメン」

 でも弘子は起き上がれなかった。

「何よ弘子、山根先輩と、この受験の忙しい時期に、済ませちゃったの?」

 遥子は弘子をつついた。弘子は伏せたまま首を横に振った。

「あっそう。受験終わったらそういう予定? その予習?」

 弘子は答えずに伏せていた。

「弘子ー、人に恥ずかしい話させといて、自分は何なのよ~。話しなさいよ。ムカツク」

「だって、そっちは一般論だけど、こっちはヒメゴトだもん…」

 でも、結局弘子は白状させられた。うつ伏せのまま、ぼそぼそと事実を語った。

「…いろいろ触られちゃって…、それで先輩がいきなり『感じてくれたんだ』とか言いだして、私、びっくりして…全然何言ってるかわかんなくて」

「それからどうしたの? とうとう?」

「いずれわかるって言ってた」

「え? いずれ?」

「うん、それで終わり」

 遥子はあっけにとられた。

「はー。山根先輩も、頑張ってるね~。プラスにもマイナスにも、ホント頑張ってるわ」

「プラスとマイナス?」

「アンタに手を出すのと、我慢するのとよ。ホントにご苦労様~」

「それなんだけどさ」

 弘子はいきなり起き上がった。

「なんでみんな、山根先輩が我慢することを大変みたいに言うの? 私だって、頑張って受け入れたりしてるのに。私の気持ちがまだダメなら、我慢するの当たり前じゃない?」

 弘子は大まじめに遥子にくってかかった。遥子は目をぱちくりさせた。

「何言ってんの、そりゃあアンタ、男の生理から言って当然でしょ~」

 今度は弘子が目をぱちくりさせた。

「男のせいり?」

「生理よ、生理。男って、ずっと子種作ってため続けてるのよ。時々出さないといけないんだからしょうがないわよね」

「はあ?」

 弘子は顔を遥子の方に突き出して、ひどく怪訝な顔をした。

「アンタホントに何も知らないわね。知っといた方がいいよ、男に優しくなれるよ」

 弘子は衝撃の事実を遥子に聞かされた。

「男って、ずっと体内で子種を作ってるんだって。で、ある程度たまると出したくなるようになってるの。夢見て出しちゃったり、自分で出したりするの。だからエロ本とか持ってるんじゃない」

「え、…でも、オトコの全員がそういう本、持ってるってわけじゃないでしょ?」

「何言ってんの、全員持ってるわよ」

「えー!」

「だから、彼女がいればやりたくなるのも当然だし、我慢してもたまるもんはたまるのよ。弘子だって、おしっこ我慢して何日も過ごすのはつらいでしょ? それと同じ。愛しの山根先輩も、出さなきゃつらいんだよ。アンタを相手に処理したいところを、今日も耐えてるわけ。そりゃ~可哀想でしょう」

 弘子は頭を抱えて考え込んだ。これまで、男性の性欲は「今日は、カレーが食べたい」というような調子で嗜好や気分の都合で発動するものだと思っていた。確かに、カレーは我慢できるが、おしっこは我慢できない。弘子には大きなカルチャーショックだった。

 その夜、克彦から電話が来た。弘子は昨日の今日で今日の今日だったからうろたえた。

「ゴメン弘子さん、俺のせいで、明日の受験勉強手に付かないんじゃないかと思って、心配で、ついかけちゃったんだけど…」

 弘子は自分が遥子と喫茶店できわどい話をしていたことを思い出して後ろめたくなった。それに、相談事以外のおしゃべりもしまくって結局あのあと3時間喫茶店で粘った。

「いえ、あの、そんなことはないです…」

「それならいいんだけど…ゴメンね、俺、その…悪かったなって思って…」

 克彦は思い出して気まずさにいたたまれなくなった。弘子も途方もなく恥ずかしかったが、遥子に聞いたばかりのことを訊いてみたくなった。

「あの、先輩。男の人って、あの、いわゆる、その、…子種って、たまるんですか?」

「ええ!! な、なに、どうしたの、急にそんなこと言いだして」

「…私は、私なりに、昨日のことをいろいろ考えて、それで…ちょっと詳しそうな友人に訊いてみたら、いろいろと教えてくれて…」

「友人? 友人って…男、じゃないよね?」

「えっ! 女ですよ。男の子と、こんな話、できるわけないじゃないですか」

 克彦はホッとしたが、自分のそうした相談相手がもっぱら恵梨だったことを考えると、弘子に男に相談するなとは言えないことに気がついた。でも、とにかく、弘子の変化は嬉しかったし、いいチャンスだと思った。

 俺が男を教えてやる――ではなく「ゴメンね、実は」と身をすくめて恐縮しながら、克彦は弘子に男性の性的メカニズムと生理現象についての講義をしてあげた。慌てるように話を終わらせて電話を切ってから、弘子は「ギャー」とわめいて部屋で転がった。「男の生理」や克彦の気持ち、対処を知って激しい混乱をきたし、じたばたした。克彦は「嫌われたんじゃないか」と気もそぞろだったが、一方で、弘子が女性としての成長を遂げてくれるのを大いに期待した。


 弘子の受験が終わった。最後の受験校から帰ってきてひっくり返っていると、玄関の呼び鈴が鳴って、克彦が来たと母が告げた。

「あの、突然来ないでください、部屋が片づいてるとは限らないんですから」

 また大慌てで身支度をして掃除機をかけるハメになり、弘子は大仰にふくれてみせた。

「ゴメン、だって、受験だと思って会いたいの我慢してたんだもん…」

「だって、半月会わなかっただけじゃないですか」

「半月も会わなかったのに、弘子さんは淋しくなかったんだ」

 克彦が拗ねたので、弘子は「もー」とだけ言った。本当は弘子だって会いたかったが、やっぱり素直には言えなかった。

 少し話などして、それから克彦は思い立ったように突然正座をして、

「あのさ、実はね…」

 と言った。弘子はつられて正座をして、

「ハイ?」

 と返事をした。克彦がしばし困った顔で黙っていると、階下から、

「弘子ー、お茶入ったわよー」

 という声がした。

「ちょっとすみません、行ってきますね」

 弘子が立ってしまい、ひとり残された克彦は、正座した姿勢のままうなだれてテーブルに頭を載せた。

「…気勢をそがれた…」

 克彦は、もう「その時期」は来たと判断した。今日は、真剣に口説きに来たつもりだった。弘子の受験が終わるのを待つこの半月は、今までの中で一番長いような気がした。

「紅茶でーす」

 弘子は呑気にお盆を掲げて座った。お客さま用のカップが置かれ、弘子用のカップが置かれ、レモンを載せた皿が置かれ、ガラスのポットが置かれ、茶菓子の入った皿が置かれた。克彦はそれをじっと見ていた。

 弘子はじっとポットを凝視して、お茶の色を見極めてからカップに注いだ。克彦は欲情とは別に、理由もなく猛然と弘子を抱きしめたくなった。

(…かわいいなあ…)

 克彦はそんな衝動を自分の中で味わいながら弘子を眺めた。

「そういえば、来月誕生日だね。やっと18歳になるんだ」

 克彦が一方的に弘子を見つけた春の日から、3年もたとうとしていた。

「なんだか、早いですね。この前高校生になったばっかりだと思ったのに」

 弘子は感慨深げに言った。

「18歳かあ…」

 克彦は弘子をうっとりと見つめた。

「な、なんですか?」

「うん、…なんだかとっても綺麗になったなあと思って…」

「え、は、はあ、…それは、どうも…」

 弘子は最近、母親に「綺麗になったわねえ」と感心されることがあった。「山根先輩のせいかしらね」とも言われた。弘子は「何、言ってんの」と言い返したが、そうかもしれないと思っていた。誰かにとって自分が大切な女性なんだという気持ちは、弘子をどんどん綺麗にしていた。

 それから少しだけおとなしくお茶を飲んでいたが、割合早く克彦は動いた。

「あのね、それで、あの、…実はね」

 そっと手を弘子の膝に伸ばし、克彦は緊張にこわばった声で言った。

「弘子さんが、全部ほしい…」

 弘子は動揺した。いろんな思いが交錯した。克彦の手が弘子の膝の上の右手を握り、引き寄せた。弘子は態度を決めかねたまま克彦の胸に捕らわれた。

(…脱がせたら、ゴール)

 弘子が動揺して動けないうちにできるだけことを進めようと、克彦はいきなり服に手をかけた。それまでは熱いキスでぼうっとした状態で狼藉を受けたのに、この日の弘子は完全にしらふだった。「抵抗しないわけにいかないな」と理性で考えた。ここで黙って受け入れるような自分は嫌だし、克彦に対しても恥ずかしい。

(でも、…それでもいいのかな)

 弘子は克彦の腕をそっと押し返した。

(この人なら、大丈夫かな)

 克彦は力ない抵抗に屈することなく、弘子を胸に抱えたままボタンを外し続けた。やがて、長い髪を引っ張らないようにそっとカットソーの首の部分に弘子の頭をくぐらせた。思いの外簡単にいったので驚いた。

(…「抵抗してたら脱がすの大変だよ」)

 和宣が言っていた言葉を思い出した。確かに、弘子が本気で抵抗していたら首のところを外すのは難しかっただろう。

 弘子は瀕死のうさぎのように震えて目を閉じていた。やがて、弘子を守ってくれるものは何もなくなった。克彦の狼藉は続き、弘子は身をすくめたり体を覆って隠したりしながら、なすすべなく支配されていった。

 克彦がシャツを脱ぎ捨てたのがわかって、弘子は新たな局面に緊張した。

「…あったかい」

 克彦は弘子を抱きしめて胸に顔を埋め、幸せそうに目を閉じた。弘子は驚いた。こういう時、男の人はもっと荒々しくて怖い、欲望に燃えた瞳をしているのだと思っていた。だがやがて、そこにもゆっくりと緊張がとけ込んできた。

「…最後まで、してもいい?」

 弘子は息をのんだ。やっぱり男性を「怖い」と思った。でも、ダメだとはなぜか言えなかった。迷いを振り払うように克彦が挑発してくる。弘子は初めての感覚に動揺していた。

(…なんで? …気持ちいい…)

 恥ずかしさで泣きだしたい。片手で唇を押さえ、声を抑えるのが精一杯だった。

 しかし結局、克彦が下を脱ごうとすると弘子は完全に怖がってしまった。怯えて必死で首を振る弘子に、それ以上のことはとうていできなかった。克彦は弘子の隣にそっと横たわって髪を撫でた。

「わかったよ、大丈夫…」

 弘子の目は潤んで、少し息が上がって、どこかうっとりしていた。長い髪が顔にかかって色っぽく見えた。あきらめるのはつらかったが、弘子が女性として成長しつつあるのは明らかで、克彦はこれまでの反省を踏まえ、無駄に急がないようにしようと思った。

「今日はここまでにしよう。…ありがとう…」

 克彦は静かにそう言って弘子を抱きしめた。自分の体が苦しがっているのを必死でこらえ、なんとか自分を諌めると、弘子に服を着る時間をあげた。


 それから何度か克彦は弘子の部屋を急襲して同じようなことをした。弘子は戸惑い、軽く抵抗しながらも拒まなかった。でも、いつも克彦がズボンを脱ごうとすると弘子は必死で止めた。克彦はなんとか我慢したが、だんだんそれもつらくなってきた。

「こんなことばっかり、そういう目的で来ないでください」

 弘子は家族の目を気にして言った。決して克彦の行為を拒んでいるのではなくて、克彦もその気配を察して反省した。

 だから、久しぶりに普通のデートに出かけた。もう3月も半ばを過ぎた頃、克彦は南へ車を走らせ、弘子を春の気配のする植物公園に連れて行った。

「あのさ、俺が弘子さんと出会ったとき、なんて思ったかって、覚えてる?」

 もうすぐ咲きそうなソメイヨシノの木の下で、克彦は訊いた。

「そんなの、覚えてないですよ」

 弘子は照れてそう返事をした。本当は、忘れるはずがなかった。

「思い出すだけでも自分で恥ずかしいなって思うけど…、でもね、今こうやって見てても同じように思うよ。春の妖精だな~って」

 弘子は照れて少し先にあるデージーの植え込みまで走っていった。栽培されて植え込まれたデージーはまだ寒そうだったが、周囲よりもひと足早い春の景色は、その中に立つ弘子を本当に春を連れてきた使者のように装った。

 克彦はゆっくり歩いて弘子のところにたどり着いた。弘子はデージーをのぞき込みながら、照れてくぐもった声で言った。

「先輩は王子様じゃないですか。私はただの人だから…今でも、身分違いに悩んでます」

 克彦は弘子の背中を抱いた。

「…あの頃はとっても可愛かったけど、今はとっても綺麗だよ。俺、弘子さんにふさわしくなるために何ができるんだろうって思うの」

「いいじゃないですか、先輩は王子様なんだから。背も高くて、格好良くて…」

「全然、違うよ。親にもらったものと、自分で磨いたものは違うんだよ。俺、自分でそれなりに努力したって思えるのはテニスだけだし、それだって高校でちょっといい結果残しただけでしょ。もう、今度3年になるんだよ。就職も考えないといけないし…。だからね、このごろ思うの」

 克彦は小さく息をついた。

「俺、どういう人になったら弘子さんを幸せにできるのかなって。…できれば、一生」

 弘子は目をしばたたかせた。それから自分の年齢を確かめた。

「もちろん、キミはあと4年大学生だし、そんなに簡単にキミが俺を選んでくれるとは思わないよ。俺だって、一生キミのことを好きだっていう保証はできないと思う。…でもね、できれば俺はそれを目標にしたい。弘子さんを一生幸せにできる人になること。なんか男の志としてはもう少し何かあるべきなのかもしれないけど…あんまり格好いいこと言えなくてゴメンね。でも、…俺の気持ちは、わかってくれる?」

 弘子はゆっくりとうなずいた。未来のことなんかわからないと思いながらも、深い喜びを感じていた。例えばやがて克彦が心変わりをしてしまうとしても、これは今の克彦の偽らざる気持ちなのだと信じられた。

 言葉で答えるかわりに、弘子は後ろから回った克彦の腕を掌でぎゅっと胸に抱き寄せた。

 春の景色は海岸沿いの公園にずっとずっと続いていた。2人は春の気配や証拠をたくさん集めて一日を過ごした。とても幸せな一日だった。帰りの車の中では、どちらもあまり口を開かなかった。黙っていても側にいる幸せを感じられた。

「…ラブホテルとか、そういうところは嫌?」

 克彦は静かに言った。そういう気分だったし、そういう雰囲気だった。弘子は答えあぐねた。女性があからさまにOKの意思表示をするのは恥ずかしい。でも、弘子もそういう気分だった。

「どこかに入っちゃっても、いいかな」

 克彦は言った。弘子は少しうつむいただけだったが、弘子がNOの意思表示をしないときはOKに決まっていた。

 道沿いに「空」の表示が出ているホテルを見つけて車を入れた。

(なんだかんだ言って、高田先輩とホテルに入っといて、よかったかも…)

 克彦はこっそりと思った。初めてだったら、これだけいい雰囲気なのに勝手がわからずうろたえかねない。恵梨が以前したように、部屋番号を押して鍵を手に入れた。これがわかっているだけでも、本当によかったと思った。

 初めて2人でホテルの部屋に入った。いきなりダブルベッドが目に入り、気まずさが漂った。

「シャワー浴びる?」

 克彦は訊いたが、弘子は困ったように首をすくめた。抱かれるために自分で服を脱いで準備するのは恥ずかしかった。

「じゃあ、待っててくれる?」

 弘子はやっぱりうなずけなかった。ここまでついてきてその気がないふりをしてもしょうがないのに、どうしても戸惑ったような態度しかできなかった。

 克彦は弘子に優しいキスをして浴室に入った。弘子は小さなソファに小さくなって腰掛け、克彦の消えた浴室のドアをじっと見て考えた。

(だけど、最後までしていいとはやっぱり思えない…)

 ここまで来てそれが通用するのかはわからなかったが、弘子はできればただ触れ合うだけでいたかった。でも、もしかしたら流されて受け入れてしまうかもしれないとも思った。

 浴室のドアが開いた瞬間、弘子は身をすくめた。克彦はバスタオル一枚で浴室から出てきて弘子の隣に座った。そっと肩を抱いてキスをして、ゆっくりと服を脱がせた。弘子はじっとしていた。弘子の服はソファに掛けられた。

「…シャワー浴びる?」

 克彦は優しく言った。弘子はうなずいた。

 弘子が浴室に入ると鏡に映った自分の姿が出迎えた。思わず目をそらし、ボンヤリと体を流した。自分がそんなことをしているのがとても不思議だった。あまりすぐに浴室を出るのも恥ずかしい気がして、弘子は少し長めに体を流した。そして、体を拭いたタオルで体を覆い、伏し目がちにそっとドアを開けた。

 ドアを出たところでたたずんでいると、克彦が、

「おいでよ」

 と言った。ベッドに腰掛けている克彦の側に、弘子はそろそろと歩いていった。克彦は立ち上がり、弘子のタオルに手をかけた。この期に及んで、弘子は少しタオルを引っ張って抵抗してしまった。克彦は弘子の手からタオルを取り上げて足元に落とし、ベッドにそっと押し倒した。そして薄明かりを残して電気を消した。

 弘子は、関係がどこまで進むのか心配しながらされるままにしていたが、そのうち体の熱さに飲み込まれて何も考えられなくなった。克彦は自分のタオルをとろうかどうか迷った。弘子がいつもズボンを脱ごうとすると正気に返って怖がることを気にしていた。

(でも、こういう時でもないと、いつまでたっても弘子さんに受け入れてもらえない…)

 克彦は意を決してタオルを外した。弘子ははじめ気付かなかったが、克彦が体を重ねた時、そのことに気がついた。そして、強く克彦の肩を押し返した。

「…弘子さん、怖いの?」

 克彦は声をかけた。弘子はつぶった目をますます強く閉じて縮こまった。しばらく文字通りの押し問答をした後、克彦は起き上がり、弘子に背を向けてベッドに座り込んだ。拒まれ続けることに傷ついていた。女の子がわからない。本当は愛されていないのかもしれないと不安になった。

 弘子は克彦の背中を見つめた。克彦の切なさが伝わってくるが、やはり怖かった。

 状況を打開しようと、克彦はある行動に出た。結果、裏目に出た。弘子を泣かせてしまい、できるだけ優しく抱きしめて謝った。けれど、自分が何を謝っているかわからなかった。弘子が泣き止まなかったので、続きはできなかった。

 弘子は帰りの車の中でも何度も涙を拭っていた。克彦が心配するたびに「大丈夫です」と答えたが、大丈夫でないことは明白だった。恵梨のことをちらりと思い出した。2人の女性の違いは余りに大きくて、克彦を混乱させた。

 弘子も途方に暮れていた。自分がどうすれば克彦を受け入れられるのかわからない。また求められたら拒絶してしまいそうだった。

 気まずいまま車は弘子の家にたどり着き、2人はそこでほとんど何も言わずに別れた。

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