115 暴徒との対峙③
「これを機に…ふざけた真似はするな!いいか!」
クリス様の喝が響くなか…多くの魔物たちは頭を垂れ、皆同じ反応を示す…。
怒りをぶつけるものはいない…。
己の愚かさに気がついたのだろう…。
「うっ…魔王様…申し訳ありません!」
「この愚かな私を…断罪してください!」
「これからは…魔王様のために…」
各々の様子は完全にクリス様に屈服している様子…。
さて…次の段階ですね…。
「クリス様…そろそろ…」
「むっ!…そうだな…」
クリス様に耳打ちをし、今度は決闘の経緯…ならびに愚民様の処遇について話すことに…。
民衆のこの様子なら、愚民様を認めさせるのもうまくいくかもしれませんね…。
「お前達への説教はこのくらいでいいだろう…。次に…お前たちに伝えなくてはいけないことがある…。決闘の結果…そして人間の今後についてだ!」
「「!!」」
一瞬…周りの民衆に緊張が走ったように見える…。
おそらく一番気になることだったのだろう…。
「まず結果についてだが…両者共に激しい撃ち合いの末…決着はつかなかった…。よって…痛み分けとした!」
その直後…突然多くの者達が困惑の表情で異を唱え出した…。
引き分けという信じられない結果に…ついていけない様子だ…。
「なっ…何をおっしゃっているのですか!!」
「フィール様がそんな…ありえない!」
「馬鹿な…」
この反応…かなりの疑念を抱いている…。
「お前達が信じられないのも無理ないだろう…。だが!この結果については我も確認した!どうしても…と言うなら、フィールの口から確認するがいい!」
話を振られたフィールはクリス様の横に立つと、威厳のある佇まいで口を開く。
「…人間との戦い…結果は魔王様の言う通りだ!私は人間の力を認めることとした!」
それでも…民衆の戸惑いは落ち着かない…。
「フィール様!ふざけないでください!」
「魔王軍一のあなたが!何を…!」
「嘘だといってください!」
「信じられない!」
…予想以上ですね…。
雲行きが怪しくなってきました…。