112 ティナ・リィスティーナの奮闘
まったく…参っちゃったのねっ!
まさか…こんなにひどくなるなんて…思いもしなかったのね…!
ティーたちのいる魔王城はたくさんの魔物たちに取り囲まれ、暴動の嵐…。
そこら辺の庭には火をつけられるし、城の城壁に砲弾を飛ばされてぶっ壊れるし…。
はっきりいってもう限界なのね!
初めはある程度言葉で時間稼ぎをするつもりだったけど…まさかここまでぼこぼこにするなんて…。
ここにいる魔物たちは頭がおかしすぎるのねっ!
「ティナ様っ!危険です!これ以上城にいては命が…。裏口から逃げましょう!」
城にいるメイド達も執事達も…軍に所属する兵達も泣きそうな顔をしているのね…。
気持ちはわからないこともないけど…
「ダメなのね!なんとしても…魔王様が帰ってくるまで持ちこたえるのね!逃げるのは許さないのね!」
「ティナ様!」
「…ティーは約束したのね!なんとしても…守り抜くって…」
「ううぅ…ティナ様…」
申し訳ないのね…。
こんな10歳も満たない女の子…ティーの命令に従ってくれるなんて…。
魔王様もメーラもフィールもいない今…実質的にここの指揮ができるのはティーだけ…。
ティーがいなくなったら…ここは誰に任せるのね!
そう思っていると…
「ふぃー…こりゃ…やべぇわ…。さすがの俺も生きてられるかねぇ…」
「む…!…ウザイン…お前何しに来たのね!」
城の防衛を任せたはずのウザインが突然ティーのいる部屋に…。
相当な力を持つウザインがここに来るなんて…。
「よぉ!桃髪ロリ!今日も可愛いじゃねぇか!」
「質問に答えるのね!城の防衛はどうしたのね!」
「どうしたもこうしたも…限界だろ…。あれ以上とどまってると間違いなくぶっ飛ばされっから…とりあえず避難をだな…」
「ムキィー!お前!バカなのね!しっかり仕事するのね!」
この脳筋バカオーク…!
お前がいなかったら意味がないのね!
「んまぁ…そう焦んなよぉ…。たぶんあいつら…そろそろ帰ってくるぜ?」
「…帰ってくる!?どういうことなのね!連絡があったのね!?」
「いや…俺の勘だけど…」
「ふざけるんじゃないのね!」
期待したこっちがバカだったのね!
こんなタイミングで…あいつらが帰ってくるなんて…。
「ティナ様!窓の外を見てください!」
「どうしたのね!」
まったく…次から次へと…何があったのね!
メイドにそういわれたティーは、窓の外に目を向けると…
「…竜車!?」
やや小ぶりな竜車が城門をくぐる姿が…。
まさか…
「魔王様です!魔王様がお帰りになりました!」