111 ぶっつけ本番前の不安
ぐっ…!
結局、まともに寝れなかったぜ…。
クリスのこと意識して落ち着けなかった…。
朝飯も昼飯も…全然味しなかったし…。
魔王城が近づいている緊張感も原因の一つだろうけど…やっぱりクリスに対する恥ずかしさの方が大きいだろな…。
…くっそー!
まるで病気みてぇだ…。
ゴトゴト…ガタゴト…
竜車は速度を落とすことなく…夕日の光を浴びながら進んでいる。
時間的には夕方か…。
このペースなら間違いなく夜には着くな…。
「皆さん…あと二時間で魔王城です…。おそらく民衆の暴動が起きている可能性もあるでしょう。命がけの説得になるかもしれないので、覚悟してください…」
うぐっ!
メーラの言葉がものすんごい心に突き刺さる…。
今の俺の状態で…皆を納得させることなんかできんのか?
…だが…時間もねぇ…。
しっかりしろ!俺!
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参りましたね…。
思った以上に愚民様とクリス様の様子が良くない…。
まさか…あんなことがあったなんて…。
声をかけたいところですが…おそらく逆効果になるでしょうね…。
こうなったら…ぶっつけ本番…。
最大限のサポートはしますが…今回の鍵はあくまでも愚民様とクリス様…。
うまくやってくださいよ…。