103 さぁ…仲直りしよう!
「こいつは…」
なかなかに複雑な心境だろうな…。
フィールにとっちゃ、大ケガを負わせちまった相手だし…。
「…あぁ…。あのときのドラゴンだ…。お互いにとって嫌な思い出になりそうだけど…」
「…」
「…キュッ…!?」
フィールもキューちゃんも…なんとも言えない雰囲気に言葉が出ないようだ…。
んでも…いつまでもこんな状態じゃあ…こっちも困る…。
「…なんつーか…今はスゲー嫌な気分なのはわかる…。けど…仲直りしてくれねぇか?…これから先…何が起こるか…わかんねぇし…」
「…」
「…キューン…」
さすがに早すぎたかな…。
今すぐ…ってのは酷な話だったかも…。
だが、重い沈黙が支配する中…先に動いたのは…
「…すまなかった…」
「キュッ!?」
フィールだった…。
さすがの俺も驚きだ…。
自分からすぐに謝るなんて…。
「あのときは…決闘の場で、少し頭に血が昇っていた…。お前に苛立っていた…。だが…こうして自分を見つめ直し、前を向くことができたのは…お前と…この人間のおかげだ…だから…」
フィールが次の言葉を口にしようとしたとき
バサッ…パタパタ…トッ…。
「キューン…」
ペロッ…。
俺のポッケに収まっていたキューちゃんは羽を動かして飛び、フィールの肩に止まると頬を舐めた…。
まるで気にしていない…というふうに…。
「…キューちゃんも仲直りしたいみたいだな…」
「…ありがとう…」
フィールはキューちゃんの頭を指で撫でると、優しく微笑んだ…。
たぶん…今まで見た中で一番の微笑みのような気がした…。