102 説得の根拠
「まったく…間抜けな声を…。こんなやつに一杯食わされたことを思うと…自分が情けないな…」
「てめっ!…」
「だが…命を助けたことには…感謝する…。ありがとう…」
「んなっ!?」
ちくしょー…。
変なところで素直になりやがって…。
調子狂うじゃねぇか…。
「「おにーちゃんありがと一!!」」
「此度の件…感謝いたします…」
「本当に…ありがとうございます…」
他のヴァンパイアの皆も…。
ちっこい双子やカッコイイやつ…キレイなねーちゃんにまで言われると…恥ずかしいな…。
「いや…別に…助けてぇから助けただけで…。…ちくしょう!めっちゃハズい…!」
「…まったく…お前は素直になれんのだな…」
おめぇが言うなっ!
一
…
「そうか…お前と魔王様は…幼馴染みだったのか…」
「ん…まぁ…な…。他のやつらに認めてもらうためにちょっと強引な手を使ったみたいだけど…」
「確かにな…いくらなんでも結婚とは…話が飛んでるぞ…」
他の皆から感謝されたあと…俺とフィールは二人っきりで話すことになった…。
どうも真剣な話をしたいとのこと…。
皆にはとりあえず退席してもらうことになったけど…クリスに見つかったら抹殺されっかも…。
しっかし…。
ついさっきまで死闘を繰り広げてたのに…変な気分だ…。
「魔王城に帰ったあとの件…協力しよう…。だが、私の言葉であいつらが納得するとは思えんが…」
「あぁ…そこは大丈夫…だと思う…たぶん」
「…理由を聞こうか」
少し険しい表情をしながら尋ねてきたフィール…。
すっげぇヒビっちまったが、冷静を取り繕いながら根拠を述べた。
「…おぅ!理由は…」
そして、俺の胸ポッケの部分を叩くと…
ヒョコッ…
「キュッ?」
「キューちゃんがいるからだ!」