99 その裏側では…
…俺たちは外でフィール達のやり取りを聞いていたわけだが…。
よかったぜ…。
窓の外から見る感じだと、皆笑顔を見せている。
これなら、フィールも元気になるな…。
「…なんとかうまくいきました。これも愚民様のおかげ…ですね…」
「うむ…ユキの戦いがあってこそ…フィールの本音を出すことができたな…」
もぅ…そんなに誉めんなよぉ…。
照れちゃうじゃねぇか!
…と冗談は置いておいてだな…なぜこんな状況になっているかだが…。
メーラが動いてくれたようだ。
魔王城にいるやつに連絡を取って、フィールの治める国のヴァンパイア達に現状を伝えたらしい。
主の身の危険を知ったら、何人かはここに来るだろうと思ってとのこと…。
頑固者のフィールでも、同じヴァンパイアと一緒なら心を開く…そこに賭けたのだ。
まったく…メーラのやつ…策士だぜ…。
恐ろしい…。
まぁ、予定より早くヴァンパイアの皆が出発したこともあって、急いで医療施設に戻る必要があったけどな…。
案の定、医療施設ではちょっとした混乱があったわけだし…。
ヴァンパイアの皆と施設の看護長が口論してるとこ見たときは…肝を冷やしたぜ…。
…にしても…
「…なんかメーラもクリスも俺のこと誉めてるけど…俺なーんもしてねぇ気が…」
「いえいえ…愚民様の言葉がフィールの心に響いたのは確かでしょう…」
「そうだぞ!もっと自分に自信を持て!」
ん?そう?
んじゃあ…もっと自信持っちゃうぞ?
「…調子に乗りすぎです…」
こらっ!
心を読むな!