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96 フィールの混乱…
…もう夜か…。
あれからどれ程たっただろう…。
人間に負けて…命を絶とうとしても人間に生かされた…。
今の私には…もう人を殺すことさえできない…。
これまで人間への復讐心で生きてきた…。
自分のしてきたことは正しいのだと…そう思っていた…。
人間は悪…それなのに…。
あいつは自分の命を懸けてまで私を助けた。
なぜだ…。
なぜそうまでして…。
ズキッ…
…くっ…また頭が…。
ずっとこの調子だ…。
目が覚めてから…いや…あいつに心の中を覗かれたあのときから…頭の中が痛くなる…。
私の恨みが嘘などと…あり得んはずなのに…。
あのときの涙も…きっと何かの間違いのはずだ…。
そう思っても…完全に否定できない自分がいる。
…これでは…国のみんなに顔向けできん…。
でも…どうすれば…。
コンコン…
「?」
突然ドアを叩く音が響き、私はすぐに音の鳴った扉に顔を向ける…。
おそらく…メーラがまた説教をしに来たのだろう…。
いつも通り無視すればいい…。
だが…このときの私の予想は驚く形で裏切られることになる…。