91 俺は大丈夫!その頃…あいつは…
そういや…気になることがあったな…
せっかくだから、メーラに尋ねてみるか…。
「ところでよ…ここって…どこだ?」
「近くの医療施設です…。城に帰ることも考えましたが…向こうは向こうで混乱しているでしょうし…。なにより…お二人の手当てもしたかったので…」
確かにな…。
手当てもそうだが、決闘の結末を他のやつらに伝えるのはちょっと…。
フィールが自殺を図る…なんてことを説明するわけにはいかねぇし…。
「まぁ…ほとぼりが覚めるまでは帰れねぇわな…」
「そうですね…」
しんみりとした雰囲気が漂う中…俺達はこれからのことに不安を抱きそうになった…。
フィールと戦い…無事生き残ったのは良かったが…。
俺たちの立場、フィールの立場をこれから他の魔物に伝えなくてはいけない…。
果たして…上手くいくのだろうか…。
「とりあえず今は生きていることに感謝しましょう…。先のことは…これから考えればよろしいかと…」
「…そだな…」
「愚民様も体調に問題がないようなので…フィールの様子を見てきますね…。あぁ…そうそう。もし寂しければ、メーラのパンツでも嗅いでみますか?」
「アホか!そんなもんいらねぇし!」
「ふふ…」
メーラは微笑むと後ろを向いて部屋から出ていった…。
そういや…あいつからからかわれるのって久しぶりだよな…。
暗い雰囲気の中でからかわれると気分が少し楽になる…。
あいつなりの気遣いってやつか…。
…パンツはいらねぇけど…。
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…
「フィール…お身体の方は大丈夫ですか?」
「…」
あれから…フィールは一言も言葉を発することなくベットで横たわっている…。
目を覚ました時…てっきり生きていることに錯乱でもするかと思いましたが…。
意外と冷静ですね…。
まぶたを開き、天井を見ながら何を思っているのか…。
「…先程…ユキ様…人間の様子を見てきました…。体調に問題もなく、すっかり元気でしたよ…」
「…」
さて…どのような言葉を伝えれば反応するのでしょうか…。