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6 どうしよう…俺の命運が決まりそうだ…。

『…本当によろしいのですか?そんな作戦…愚民様にとっては危険極まりないものと思いますが…』


いや、正直今の混乱を静めるにはこれしかねぇ…。

危険は承知だが、もう後戻りは無しだ!

メーラ!頼む!


『…はぁ…まぁいいですけど…』


メーラはやれやれといった様子で俺との会話を中断し、スッと立ち上がると言い争う二人に歩みより声をかける。


…うまくいくかな…。


「まぁまぁ、そう熱くならずに…。冷静に解決してはどうです?魔王様もフィールも落ち着いて…」


「メーラ…お前はどうなんだ?人間との結婚などおかしいと思わないか?」


フィールの静かな、それでいて殺気立つ瞳に俺はビビりそうになった…。

ホント、こぇぇ…。


クリスもかなり恐ろしい…。

一歩間違えば流星群(メテオ)でも飛んでくるかもしれん…。

この二人の睨みに一切動じないメーラも別の意味で怖いが…。


「私の意見を申し上げると…私もこの人間との結婚には反対です」


「なっ!メーラ!何を言っている!?」


メーラの予想外の言葉にひどく焦るクリス。

まぁ、メーラは俺のことを知っているからな…。

唯一の味方を失ったようで、驚くのも無理はない。


フィールは勝ち誇ったように微笑むと、クリスに再度反論する。


「どうですか?メーラも反対のようですし…このままこの人間は牢屋にぶちこむということで…」


…さて、ここからが正念場だな…。


うまく言ってくれよ…メーラ…。


「…フィール…あなたは勘違いをしているようですね…。私は確かに結婚には反対ですが…それは現時点では…という意味です」


「…何?どういうことだ?メーラ…」


微笑みから一転。

再びメーラを睨み付けるフィール…。

多分、自分の思い通りにことが運ばなかったことに苛立っているのだろう…。


「考えてみてくださいな…。もしこの人間に、特別な力…もしくはこれからの戦で活躍できるだけの戦闘力があるとすると…利用するべきだと思いませんか?」


「貴様…!何を言っているんだ!こんな貧弱なモヤシにそんな力…あるはずがない!」


…モヤシは失礼だろ…。


「いえいえ…。わからないものですよ?最近の人間には強いかたは大勢いますから…。もしかすると、魔王様と同等の力を持っているかもしれません…」


「はぁ!?訳のわからんことを言うな!」


「そうでしょうか?魔王様と同等の力を持っているとなると…牢屋にぶちこむなんてもったいない…。どうせなら、戦などには積極的に登用するのも面白いかと…。」


「だっ…だがっ!このモヤシにどれ程の利用価値があるかなど…わかるはずが…」


「いえいえ…簡単な話です。要は強いかどうかわかればいいのでしょう?でしたら…」








「あなたとこの人間で一騎討ちを行えばよいのです…」







この言葉にはフィールもクリスも、その場にいた魔物たちも驚いた…。

当たり前だ。

魔王軍三大幹部の一人が、ただの人間と一騎討ちなんて前代未聞…。


だが、メーラはそんな動揺にも気を配ることなく、次々と言葉を並べ立てる。


「もしこの人間があなたと戦い勝てば、それは強いことの証。牢屋に放り込む理由にはなりませんし、魔王様と結婚するのも納得いただけるのではないですか?」


「きっ…貴様!私を馬鹿にしてるのか!?」


「まさか…。フィールはヴァンパイアの女王…。強いことは理解しています…。しかし、魔王様との結婚に反対するなら、この方法を使って証明するしかないと…」


フィールは明らかにぶちきれている…。

うーん…やっぱり難しいのかな…。

と思ったら


「…どうやらフィールは自信がないようですね…。ただの人間に負けると思っているようで…」


ちょっ!おまっ!

何いってんの!?

火に油注ぐなよ!

これ…ヤバイな…。


「なっ!なんだと!私がこんなモヤシに…!」


「では、戦う他ないでしょう…。この人間に勝つ自信があるならこの勝負は受けるべきです…」


おーい…。

それ以上刺激したら戦争になっちゃうよ…。

もう少しオブラートにさ…。


そんなことを考えてヒヤヒヤしていたわけだが、どうもフィールの様子が落ち着いてきた。

何事か思案しているとメーラに質問する。


「その一騎討ちは…どのようなルールにするつもりだ?」


「そうですね…。基本的には死ぬか降参するかで勝敗を決したいのですが…」


「ふん!降参など要らぬ!どちらかが死ぬまで戦うなら、私もこの提案に乗ろう!」


「いいですよ…。それではどちらかが死ぬまでのデスマッチで…」


えっ…うそ…それはやりすぎなんじゃ…。

メーラ!それはやめてよ!

そこまで頼んでないから!


「それでは一週間後に闘技場で…。その間は、この人間の管理はメーラが担いましょう…」


「ふん!くれぐれも逃がすような真似はするなよ!」


「えぇ…約束いたします」




ウォォォォォォ!!!

フィール様の殺し合いだぁぁぁぁぁ!

やったぜー!

楽しみだぁぁぁ!!




…魔物たちの大歓声の中、俺はすんごい絶望した…。



俺…死んじゃうかも…。

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