84 心残り
思えば…長く生きてきた…。
歳は150を越えた辺りから数えていないな…。
女王として…忙しかったこともあるが…。
とにかく慌ただしい日々だった…。
子供の頃から生きるか死ぬかの瀬戸際を経験し…。
親に頼ることなく一人で生活を始め…。
多くの仲間と出逢い…。
やがて巨大な帝国を築き上げ…。
…そしてここまできた…。
辛い日々の連続ではあったが…穏やかな日もあったな…。
世話係として初めての経験をしたアリスは…非常に初々しかった…。
失敗は多くともひたむきであった…。
私が死ねば…あいつは涙を流すだろう…。
そう言えば…ヴォルンからの求婚にまだ答えていないな…。
あいつは本当に私のことが好きなようだったが…まだ24歳…。
より魅力的な女性を選んでくれ…。
パールヴォルト兄妹には本当に手を焼いた…。
あいつらは私の怒りなどお構いなしにイタズラをしていたからな…。
…まぁ、今では立派な親衛隊の一員として活躍しているが…。
人生とはよくわからんものだ…。
…思い起こせば多くの仲間がいる…。
最後の言葉を伝えることができないのは心残りだが…。
あいつらなら…強く生きてくれるだろう…。
さて…そろそろか…。
勤勉な兄上…やんちゃな弟…優しい母上…そして…厳格な父上…。
今向かいます…。