77 勝利宣言
フィールが撃ち込もうとしているもの…。
間違いなく…ヤバイやつなのはわかる…。
なんたって、あのキューちゃんを撃ち落としたんだ…。
そんな俺の警戒感に気がついたのか…フィールが偽りの余裕を浮かべながら喋り出す。
「なんだ?こいつがやけに気になるようだな…?」
「…やべぇやつなのは…間違いないんだな…」
「『レテルギルス』…両手で作り上げる私の必殺技だ…。この攻撃は当たった相手との距離に反比例して威力が増す。あのドラゴンは10mほどの距離だったが…普通の人間なら一撃で死んでいるな…」
マジかよ…。
そんな技を…キューちゃんは俺のために…。
「そして…今のこの距離なら…お前の体は灰になり消え去る…。いや…それだけじゃない…。ここら一体が火の海となり、誰も近づくことのできない地獄と化す」
…俺の体は灰になる…か…。
恐ろしいぜ…。
しかも、周りにも影響が出るってんだから、二次災害もある。
こいつは…危険だ…。
なんとしても…食い止めねぇと…。
そんなことを思っていると、禍々しき光はより一層濃くなり…俺の目の前で発射される瞬間を待っている。
「…いい暇潰しにはなった…誉めてやる…」
もう…時間もない…。
俺は力を振り絞り、言葉を投げ掛けようとした…。
「フィール…」
「さよならだっ!!!」
しかし…俺の言葉を待たず、『レテルギルス』を撃ち込もうとする…。
フィールの目には俺の姿は見えていないだろう…。
心を乱されると思って…。
だが…それでも…俺の言葉は最後まで続けられる…。
今までの戦いに…決着をつけるために…。
これまでの死闘に…終止符を打つために…!
「…俺の…勝ちだ!」