62 上空戦!①
「うぎっ…!!…!!」
ぐっ…ヤバィ…。
すんげぇ速度で上空を飛んでるから…息が…もたねぇ…!
それでも…ドラゴンの体毛を離すわけにはいかねぇ!
下手したら落下してお陀仏もあるんだ!
持ちこたえろ…俺っ!
グゥゥゥゥゥゥ…ン!!!
…いったいどんくらい飛んでんだよ…!
心なしか…肺の部分が…変な気分に…!
そう思っていると
…フッ…
突然息苦しさが楽になり、飛んでいる勢いも無くなる…。
目を閉じていた俺は瞼をゆっくり開けると…
「なっ…ウッソだろ…」
そこは雲海の世界。
雲の上なんて修学旅行の飛行機以来だが…生身の体で飛んでいることを考えると…新鮮な気分だ…。
しかも今は深夜…。
月明かりに照らされた世界は思いの外美しかった…。
「…キューン?」
鳴き声に気がつき、意識を自分の居場所に向けると…。
気がつけばドラゴンの背中…。
なんかファンタジーしてるわ…。
「あっ…ありがとよ…マジで助かった…」
背中部分をボロボロの手で撫でる…。
気持ちよかったのか…ドラゴンは目を細めて気持ち良さそうに…。
チュンッ!
ドドドドドドドドドドドド!!!
と…突然下から打ち上げられる光弾…。
ドラゴンは寸前のところで避け、華麗に空を舞う…。
俺はマジでビビった…。
心臓にわりぃよ…。
「ルォォォォォ!!グルルルルルルル…!!」
目線の先には…
「…人間め…!ドラゴンを操るなど…ふざけたことを…」
翼を羽ばたきながら、キレ気味なフィールが浮いている…。
寸前のところで殺し損ねたのが相当ムカついたのだろう…。
俺は自分とドラゴンに気合いを入れる意味で、声を張り上げた。
「よし…頼むぜ!こっからが正念場だからな…いくぞ!」
「キュッ!」