61 舞台は上空へ…
『こいつぁぁぁ…面白くなったぁぁ!!さぁ!どうする!にんげぇぇん!』
ウィリアムの声が響く中…俺は停止した思考を瞬時に動かした。
白いドラゴン…。
俺に味方してくれるのは間違いない…。
なら…
「お前…俺を助けてくれる…のか?」
「…キュー…」
いかつい見た目のわりに幼い声…。
お前ホントにドラゴンかよ…。
「…俺と…戦ってくれる…か?」
「キュッ!」
時間もねぇ!
俺は腕の力でドラゴンの体毛を掴み、さらによじ登っていく…。
足が動かない分かなり大変だが…なんとか背中まで…。
「くっ…!舐めるなよ!人間!」
チュィィィィィ…ン!
ヤバイ!
フィールのやつが戦闘態勢に入りやがった!
早く登らねぇと…。
「ルォォォォォォ!!!…ボァォォァ!!」
突如
ドラゴンは咆哮をあげると、フィールめがけて炎を吐き出した。
あまりの熱量によじ登っていた俺はヒヤヒヤ…。
コッコェェェ…!!
「くそっ!」
ドラゴンのブレスに撃ち込むタイミングを逃したフィールは、一度後方に移動し態勢を立て直そうとする…が
ブワァッ!!…ビュンッ!
大きく翼を広げたドラゴンは、掴みかかっている俺と一緒に空へと飛び上がる。
それはもう…ジェットコースターのような勢いで…。
…失神しそうだ…。
「まっ…待てっ!逃がさん!」
フィールも翼を広げてから後を追う。
両者の勢いはさらに上へ上へと飛んでいき…。
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『おっ…おいいいぃぃぃ!!上空戦とか聞いてねえよぉぉぉ!!マジ俺の実況意味なくね!?』
決闘開始から1時間58分経過…。