60 人間を守りし者
…終わったか…。
結局…あの人間の正体については良くわからんかったが…。
どうせつまらんやつだろう。
魔王様も変なやつを選んだものだ…。
さて…。
もうここにいる理由も…
『…おぉぉ!?なんだぁ!?ロリババァの撃ったとこから…変なもんが…っておぉぉぉ!?』
なんだ?
ウィリアムのやつ…何を驚いている?
土煙の舞う着弾点に何かいるのか…?
目を凝らし、人間のいたところを良く見てみると…
「グルルルルルルル…」
『おぉぉぉぉ!?なんとぉぉ!!ドラゴンだぁぁぁぁ!!へっぽこ人間のとこから…ドラゴンが召喚されたァァ!?』
バッ…バカな…。
ドラゴンだと!?
なぜそんなやつがこんなところに…!?
白い翼や鱗、鋭く光る牙、真紅の瞳をもつドラゴンはわたしの方を見ながら威嚇している…。
さらに、何かを守るように翼で覆っているようにも…。
まさか…。
あの人間…とんでもないものを…!!
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…なっ…なんてこった…。
いつのまにか…ドラゴンが召喚されたみてぇだ…。
獰猛…そして恐怖の象徴とも言えるドラゴンだが…なぜか俺に対しては攻撃してこない…。
フィールの光弾もドラゴンの翼によって防がれたことを考えると…こいつ…俺を守ったのか?
「…キューン…グルルルルルルル…」
なんか…すげえ怖いけど…鳴き方ちょっと可愛いな…。