57 絶体絶命な俺…
くっそぉぉぉ!!
雷属性の必殺技『サンダグルフォン』は『サンクション』と同じくらいめんどくさい!
一定時間雷をそこらじゅうに落とし、どこに落ちるかもアトランダム…。
使用者であるフィール以外の敵を一掃してしまうわけだ。
こっちは『潜入スキル』を使っているとはいえ、避けるのは完全に運任せ…。
一発でも当たればもちろんアウト。
少しでもカスれば大きな怪我に繋がる。
なんとかしたいが…なんにもできねぇ…。
今でこそギリギリで避けきっているが、当たる恐怖に怯えながらだと…。
精神的にもキツい…。
ピシャッ…!
バリィィィ!
ゴロゴロ…!
さっきから鳴り止まない雷はその勢いを増すばかり…。
体力的にも…限界が…。
「…すばしっこい人間だな…。まだ当たっていないと見える…なら…」
チュィィィィィ…ン!
そんな一方的な展開に飽きたのか…フィールは右手で光弾を作り出す…。
いったい何を…。
「ハアァァッ!!」
ヒュッン!
作り出した光弾を飛ばした先にあったものは…。
バチィッ!!
バチバチッ!!
ちょうど地面に落下する瞬間の雷だった。
光弾の衝撃を受け、雷は派手に四方八方に飛び散る…。
って…うぉぉぉ…!?
「『サンダグルフォン』によって作られた雷は、一度衝撃を受けると周りに飛び散る。打ち上げられた花火のような勢いでな。威力は落ちるが…人間のお前の体に大火傷を追わせるぐらいなら問題ない…」
バヂィィィッ!!
バチバヂィィィィ…!!
バッチィィィ…!!
辺り一面に広がる雷の余波は、予想できない動きかたで俺を追い詰める…。
避けるだけじゃダメだ!
なんとかガードしねぇと…!
と思っていると…
バッチィィィ…ン!
「いっ…でえぇぇぇ!!?」
うぐっ!
俺の足に…雷が…。
威力は小さくとも、肉の焼け焦げる臭いが漂ってくる…。
やっ…やられた…。