49 3人の思惑
…この人間…。
なぜ…攻撃してこない…。
私の猛攻を避けるので精一杯なのか?
…もう少し様子を見るべきか…このまま一気に畳み掛けるか…。
…いや…こいつは『浮遊スキル』を使っている…。
その効力が切れた瞬間を狙って畳み掛けるのも遅くない…。
それまでどれだけ避けきれるか…試してやる!
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…くっ!!
…フィールのやつ…どんだけ余裕があんだよ…。
あれから30分くらい打ち込んでんじゃねぇのか!?
もぅ時間がどんくらいたったのかもわかんねぇな…。
…だが…『浮遊スキル』もこれ以上続かないかもしれねぇ…。
そうなったら…終わりだ…。
早く次の手を考えねぇと…。
今の俺には、メーラから貰ったアイテム…ドーピングやら罠やらポーションしかねぇ。
…いや…あと変なオークからもらったじゃがいも…メコーンもあるな…。
…これは…関係ねぇな…。
くそ!
どうすりゃいい!!?
このままだとじり貧だ…。
…よし!ここはダメ元で…やってやる!
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愚民様とフィールの戦いは混沌としてきた…。
特に周りの様子には不穏な雰囲気が広がりつつある…。
代わり映えのない展開が続けば、多くの観客や解説のウィリアムが不平不満を漏らすのも仕方ないのだろうか…。
『おいおいおいおいぃぃぃぃ!!?逃げ続けんなよぉぉぉ!!にんげんんん!!正々堂々戦えってンだょおお!!!』
…愚民様…。
このままでは…スキルが切れて打ち込まれるのが目に見えているというのに…。
いったい何を…。
横にいるクリス様は落ち着いているように見えるものの、額には汗が…。
さらに拳をぎゅっと握って不安な気持ちを押さえているようだ…。
観客は愚民様の戦いぶりに呆れ返っている…。
『サンクション』の対応では盛り上がってはいたが、今はブーイングの嵐…。
どうすれば…。
そのとき…一人の観客が突然の出来事に声をあげた…。
「…っ!?おい!あいつが…人間が…突然消えたぞ!!?」