表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
220/270

81 暗闇の世界

 気がつけば…そこは暗闇の世界だった…。見渡す限りの暗黒…。自分がどこにいるのかもわからない…。


 一瞬の出来事…自分が何をされたのか…理解できなかった…。


 そして…もうひとつの違和感に気がつくのにホンの数秒…。男は…バルコスは自分の右手を握り締める。



 ギュッ…グッ…



「ひっ?囚人のやつが…いない?どこに…。そもそも…ここはいったい…」


 普段の彼からは想像できないほどの焦り…。さっきまで勝利を確信していたはずが、夢であるかのように霧散…。


 まさか…本当に夢だったのか?そう思うほど…。


 試しに立ち上がり…そこら一帯を歩いてみる…。



 タッタッタッタッ…



「…ここは…どこ…なん…だ…?今まで…何が…?」


 さっきまでいたのは…擬似的な太陽の照りつけるエリア…『陽光の間』…。


 それが…あっという間に夜になったかのように、静かな闇が広がる…。


 一瞬…バルコスの胸に嫌な予感が…。身体中から汗が流れ…その恐怖はやがて身を蝕み始めた…。


「ひっ…ひっ…ひっ…!?ひっ…ひひひひ…!…どこに…いるんですかねぇ!?出で…出てきてくれ…く…ひひひひひ!!」


 誰もいない…真っ暗な世界…。ただ歩くことしかできない…不気味な空間…。


 バルコスは…いるはずのない人間を求めて…ただ進むことしかできなかった…。出会うことなど…叶わないとわかっていながら…。




 …


「…それで…これはどういうことなのね?」


「…ゴホッ…エッホ…おぉ…ティナ…。お前の…おかげで…たす…助かった…オエッ…!」


「ふぅ…ティーにはよくわからないのね…。でも…あの男は倒したようなのね?」


「…おぅ…」


 いやぁ…間一髪…。死ぬかと思った…。


 そこには…ぐだっと寝転ぶ俺と…俺の腹の上にのっかるティナがいた…。あきれた幼女が俺のお腹に座り込んでるなんて…変なシチュエーションだな…。


 さてと…ここで俺は一体何をしたかなんだが…。とあるスキルを使って…バルコスを戦闘不能…みたいな感じに追い込んだわけだ。そのスキルが…



位置交換(ポジションエクスチェンジ)スキル』


 このスキルを使用したプレイヤーは、任意で2人のプレイヤーを選択する。

 プレイヤーを選ぶ条件は以下の内容。


・スキル使用者の体…もしくは、それに準ずるものに触れている。


 スキルを発動させた瞬間、選ばれた2人のプレイヤーの位置をそれぞれ逆転させることができる。

 なお、スキルの再使用には2分間を要する。



 うん…とんでもなく使い勝手のわからんスキルだろ?


 スキル使用者の体に触れている…という条件で2人を選択…。その2人の位置を逆転できる…ってやつだ…。  

 どう考えても…至近距離の2人の立ち位置を入れ替えるだけって…あんまり使えないよなぁ…。


 んまぁ…全く使えないわけじゃない。


 例えば…味方プレイヤーの一人が、脱出不可能の鉄格子牢獄に閉じ込められたとして…。


 こっちには捕虜となった敵プレイヤーがいるとしよう。


 そういうときに…このスキルを使って味方プレイヤー…敵プレイヤーの位置を入れ換えると…!


 そう!味方プレイヤーを脱出させ…敵プレイヤーを牢獄に閉じ込められるのだ!


 一応…ワンスラでも似たような使い方がチラホラあったみたいだから、『位置交換(ポジションエクスチェンジ)スキル』の有用性はそれなりにあったんだろな…。


 とはいえ…あくまでもこのスキルは戦闘向きじゃない。俺もこのスキルのことは、さっきまでさっぱり考えていなかった…。


 …が…ここでちょっとしたイレギュラーが存在している。


 それが…影人一族のティナだ!


 もし…『影の中』にいるティナと…『外の世界』にいるバルコスの位置を入れ替えたら?ティナは外の世界へ…。バルコスは影の中に入れられることになる。


 そして…ただの人間…バルコスは影の中から出ることはできない!


 よーするに…バルコスを影の中に引きずり込んで、戦闘不能にしてしまう…という作戦なのだ!


 ここで不安だったのは『影の中』…というのは、『俺の体に触れている』…という条件に合致しているか…というところ。


 そこは完全に賭けだったが、影も俺の一部みたいなもんだしな。勝算はあった。結果的にも…スキルの影響はティナにも届いたし!万事オッケーよ!


 …という諸々の説明をティナにすると…呆れ果てたようにため息をついて、俺をジロリ…と睨んできた…。


「ふぅ…大怪我のティーを利用するなんて…。無茶苦茶なのね!」


「…そこは悪かったよ…。…つーか…怪我は大丈夫なのか?」


「回復魔法を使って…なんとかマシにはなったのね!痛みは残ってるけど…大丈夫なのね!」


「そっ…そうか…」


 焦ったぁ…。俺のスキルのおかげで傷口が悪化したら…と思うとヒヤヒヤする…。今度から気を付けよ…。


 …んーと…そういや…


「なぁ…ティナ…。影の中ってどーなってんの?」


「どうもなにも…光が全くない…暗闇なのね。どこを歩いても真っ黒…。ただの人間が入ったら、数分で発狂するかもしれないのね」


「…こわっ!」


 マジかよ…それはヤバい…。ネットで有名な『○億年ボタン』に通じる怖さがあるわ…。


 …これは早いとこバルコスをどっかに解放しないとな…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ