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36 じゃがいも?いえ、メコーンです。

「おい!人間!何している!飯だ!」


フィールとの決闘まで2時間を切ったころ、控え室で待機していた俺は、監視員に呼ばれた。

監視員は屈強な体を持つオーク…。

右手に持つこん棒はどんなものでも叩き割れそうなほど頑丈に見える。


なんか強そうだな…。


「はぇ?めっ…飯?」


「そうだ!どうせ最後の晩餐になるからな。うまいものを用意してやった。ありがたく思えよ」


最後の晩餐…。

このやろー…。

すっかり俺が死ぬって思ってやがる。

んなわけねぇだろ!


…でも飯は気になるなぁ…。

実は魔界でも有名な、最高級の肉を使ったステーキとか…。


…いやっ!


海鮮丼とかもあり得るぞ!

スパゲッティとか天ざるとかカツ丼とか…。

うはぁ…楽しみだぜぇ…。


…この世界に海鮮丼とかあったっけ?

まぁ、いいや!


「えっと…飯って…」


「ここにある!ほらよ!」


そう言って監視員は俺に向かってポイッ…と何かを放り投げた。

俺は両手で受けとるとそこにあったのは…


「じ…じゃがいも?」


嘘だろ…。

俺の最後の晩餐がじゃがいも一個…。

しかも皮付き。

おまけに目まで生えてるぞ…。


んなもん食えるかぁ!!


「ちょ…嘘でしょ…こんなん…どうやって食うんスカ!?」


「なんだ?食えないのか?人間の癖にやわいんだな!」


いや…人間だからこそ食えねぇんだって!


「俺たち魔物はこいつを食べるのが好きでな!特に水に浸し、切り込みを入れてから温めたやつはぁ最高だ!そのままでもいいがな!…ちなみに下処理せずに温めんなよ?爆発するぜ!」


えぇ…。

魔物ってこんなもんそのまま食べんの?

しかも爆発って…。


「これって…じゃがいもっすよね?」


「はぁ?なんだそれ?ジャゴイモ?これはメコーンって言われる、畑でとれる作物だよ!」


じゃがいもね…。

じゃごいもじゃないごも…。


っと突っ込みはおいといて…。

メコーン?

初めて聞いたな…。

どんな匂いすんだろ…。


クンクン…。


…って…クサッ!

臭すぎんだろ!

最悪じゃねぇか!


そんな俺の様子を見て、監視員は大笑いしやがった。


「はっはっはっ!メコーンは人間にゃあ刺激が強そうだな!最後の晩餐にゃ向いてねぇわ!」


お前…いじめてんだろ…。


「まぁ、食いたくなきゃ置いときな!飯抜きで戦うのは大変だろうがよ!ワッハッハッハッ…」


そう言って監視員は乱暴にドアを閉めて出ていってしまった…。

えっ…お前…からかいに来たの?


はぁぁぁぁぁ…。


最後の晩餐…もっといいの欲しかったわ…。



フィールとの決闘まで残り1時間50分…。


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