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1 戦闘中って…。

「えーと…その…あれ?」


まったく…。

ワケわからん展開がこうも続くとは…。

これはあれだな。

夢から覚めたと思ったら、夢でしたってやつで…。


「貴様っ!まだふざけるつもりかっ!さっさと指示をだせっ!」


ゴツンッ!


ぐぁっ!

このリアルな痛み…。

夢じゃなさそうだ…。


しかしどういうことだ…?

なんで俺がワンスラの中にいるんだろう…。

まるで漫画かゲームみたいな話じゃないか…。


とりあえず状況を確認してみよう…。

俺の正体とかはまぁ…後でいいや。


「んーと…あの…失礼なんすけど…今ってどういう状況…なんすかね…?」


俺の台詞にカチンときたっぽい魔王改めクリスは眉間にシワを寄せるが、怒るのもめんどくさくなったのか、早口で現状を説明してくれた。


「今は戦闘中だ!あの大規模ギルド「7つの宝珠」が城門まで迫っている!こちらの戦闘員も相当削られた!もう軍師のお前しか頼れないんだ!」


「7つの宝珠」…。


聞いたことあるな…。

ワンスラの中でも一二を争う大規模ギルドだ。

なんでも、リーダーが相当強いとか…。


とはいえ…。

この俺も一度は「7つの宝珠」と戦ったことのある戦士だ。

あいつらの弱点はある程度知っている。

俺は自信満々にクリスにいい放つ。


「よっしゃ!あいつらなんかやっつけてやるよ!俺に任せろ!」





さて…ここで説明するわけだが…。


『7つの宝珠』の戦い方はいたってシンプル。

前線にそこそこの戦力を集めて戦わせ、後方でリーダーを含めた大戦力を待機させる。

ある程度相手の数が減ってきたら、後方のメンバーで一気に畳み掛けるというものだ。


この戦法を上手く使うことのできる要因としては、とにかく在籍メンバーの多さにある。

ワンスラの中でも驚くほどの規模に、当時敵対するギルドが次々と破れていったことは記憶に新しい。


…とはいえ、この作戦にも隙がある。


そう…暗殺にはめっぽう弱い。

要は騙し討ちだな。


後ろから気配を消して仕留めようならどうしようもない。


このゲームでは、リーダーの戦死=ギルドの敗北となる。

これまでの戦局がどれ程有利に動いたとしても、リーダーがヘボいとどうしようもないということだ。


特に有効なスキルは次の2つかな…。



潜入(スニーク)スキル』

このスキルを発動させている間は攻撃、防御の一切ができないものの、周りのプレイヤーからは存在を探知されなくなる。

索敵機能にも対処可能。


幻影(シャドー)スキル』

このスキルを発動させている間は、相手の攻撃を防御できない代わりに、自分の分身体を作ることができる。

最大10人まで可能。

またHPの10分の1を減らすことで、作り直すこともできる。


前者はそのまま。

相手に見つかることなく、敵の大将のところまで潜り込む訳だ。

まぁ、欠点は潜入中に攻撃ができないから、ダメージを受けると一気に死んじまうことか…。


後者は相手の思考を混乱させた作戦。一見無謀な策にも思えるが、回復ポーションを大量に持っていると、ある意味えげつない。どれだけ攻撃しても増え続ける。

回復スキルを持っているとなおよし。

敵の隙を突きつつ、懐まで潜り込むのだ。


どちらも前線で使うようなものではない。


さて…どうしたものか…。


「おい!どうするんだ!さっさと指示を出せ!」


ちょっと待ってって!

俺もすっげぇ考えてるから…。



…そう言えば、クリスのステータスってどうなってるんだろう…。

魔王だから、相当な力を持ってる気がするんだけど…。

確認する方法がわかんねぇな…。


…と思っていると


ピコンッ!


…目の前にメニューが開かれた。


…え…。


こんなところはゲーム仕様なの?

リアル世界っぽいから、いちいちデータとか見れないと思ってたんだけど…。

まぁいいや!


俺は指でタッチして、目の前にいるクリスのステータスを確認してみる。


「…?お前何をしているんだ?…!まさか!やっ…やめろ!それはするなといってるだろうが!」


俺の操作に反応して、クリスは阻止しようとしてきた。

…が一瞬俺が早い。

目の前に映るクリスのステータスを見たとき、俺は愕然とした。


「え…。嘘だろ…」


HP

99999999999


攻撃力

99999999999


防御力

99999999999


スピード

99999999999





ヤバイな…。

二の句が継げねぇ…。

ゲームでは魔王のステータスなんか見れなかったが、こうして確認すると…化け物じみている。


「くっ…!おっ…お前に…ユキに…見られたくなかったのに…!私のステータスなんか…見られたくなかったのにっ!」


いやぁ…。

逆に誇らしげに思ってもいいんじゃないの?

ここまですごいと俺が驚くわ…。


…ユキって俺の名前か?

…まぁ、後で確認してみよう。


ついでにスキルも見てみるか…。


おおぅ…。

こっちもすげぇ!

戦闘スキルの宝庫だ…。

サシ勝負にもっていくと、ほぼ確実に勝てるな…。


だが、戦闘スキルに特化しすぎだろ…。

案の定、「潜入スキル」も「幻影スキル」もなかったわ…。

相手の懐に潜るのは無理かな…。


「おっ…おのれぇ…!こうなったら、お前のステータスも開いてやる!」


クリスはさっそくパチパチとメニューバーを開いて、俺のステータスを表示した。


ふーん…。

どれどれ…。


俺はクリスの背後に周り、一緒に見てみる。






アンビリィーバボー…。




HP

1


攻撃力

1


防御力

1


スピード

1








嘘だろ…。



俺、最弱じゃん…。


「…ふん!あれから全然成長していないじゃないか!少しは鍛えたらどうなんだ!」


いや…。

今日初めて来たのに無茶すぎるだろ…。

絶望すぎる…。


てっきり俺がゲームをやっていたときのデータが引き継がれているかなぁ…なんて思ったが、結局ヘボステータスのままだ。


…こんなん無理ゲーすぎるわ!!


しかし、そんな俺が魔王軍の一員って…。

なんか不自然すぎるなぁ…。

謎が多い…。



いや、それよりも戦だ!

このままじゃ、俺たちの命も危ない!

なんとかしなきゃ…。


…ん?


これは…。


俺はクリスの横から、自分のステータスを見たとき、少しの違和感を感じていた。


「…?なんだ?そんな顔して…」


クリスも俺の様子に疑問を抱く。


…今思ったんだが、ステータスが低いわりにはレベルだけは高いんだよなぁ…。

相当な域に達してるわ。


ステータスが低くてレベルだけが高い…。

考えられる理由は思い当たらない…。


基本的にレベルが上がれば、ステータスは上がる。

ネトゲでもあるように、HP、攻撃力、防御力、スピードに取得ポイントを振り分けるみたいなあの育て方だ。


…いや…。

他にもあった。




スキルだ。




ポイントの消費はそこそこ高いが、スキルを手にいれることもできる。

だが、まさか…。



俺はひとつの可能性に賭けて、スキル一覧を確認してみる。



ピコン!






…予想通りだ…。

このデータ、今まで貯めてきた経験値をまるごとスキルに使ってやがる!


目の前には弱小スキルから、最強スキルまですべて集まっている…。

中には恐ろしいものまで…。


「…まったく!ユキはスキルだけは一人前だな!バカじゃないのか?」


クリスは本当にあきれたような顔で俺を見てきた。


えっ…。

お前知ってたのかよ…。

教えてよ…。


しかし…。


これならなんとかなるかもしれん!

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