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55 剣聖との邂逅

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 ダッダッダッダッ…!


 「捕まえろ!魔王もろとも逃がすわけには…!」

 「あとからオークのやつが来るかもしれん!後方部隊は備えるように!」


 ちくしょう!何てやつらだ…!人間の兵士がこうも多いなんて…。俺はクリスを抱えながら逃げまくってるわけだが…体力的にしんどい…。

 一応ある程度鍛えているから、数分はいけそうだが…遠くまで逃げ切る自信はねぇ…。

 …それにウザインの方も気になる…。あいつ…任せろ…とか言ってたが正直こんな状態じゃ…。いや!あいつを信じよう!あいつはそう簡単に捕まるようなやつじゃねぇ!

 まずは…俺達のことを…!


 「クリス…!大丈夫かよ!」


 「うぐっ…うぅ…」


 俺は心配になって、走りながらクリスへと声をかけてみる…。血が流れてねぇとこ見るとダイジョブそうだが…。…今はリタイアだ…。つまり…俺の力でこの現状を突破しなきゃならねぇ…!

 この走りながらの状態で…あいつらから逃げ切るのは、至難の技…。それだけの体力はない…。ならあのスキルで…一か八か…!


 「『潜伏(スニーク)スキル』!」



 フッ…



 俺がスキルを使った瞬間…。


 「なっ!消えたぞ!どういうことだ…!」

 「何かの魔法だ!まだそこら辺にいるはず…!探せっ!くまなく探せっ!」



 ザワザワザワザワ…



 よし!なんとかいけたぜ…。クリスにもスキルの影響が及ぶかわかんなかったが…問題ないようだ…。これならいくらか時間を稼げる!人間の兵士たちも、スキルの影響で混乱してるみてぇだし…。このまま遠くに行こう!

 …にしても…


 「ここは…どこなんだ?」


 さっきまでのボロい家屋のあったエリアから一転…気がつけば森の中に入っちまったらしい…。まぁ…こんだけ木の生えたとこなら…ある程度は逃げやすそうだが…。…とりあえず少しでも進んでいこう…。



 ザッザッザッザッ…


 ゴソゴソ…



 …うーむ…。一応大丈夫だよな?草が少し揺れたとはいえ…こんなとこ気づくやつなんているわけないし…。『潜伏スキル』もけっこうバレにくいから…問題ないような…。

 …あれ…これ…なんかフラグが立っている気が…














 「…そこまでだ…魔王…そして少年…。それ以上進んだら容赦しないぞ…」




 …!!?なっ…嘘だろ…!俺の後ろから聞こえてくる男の声…。間違いない…俺の存在が…見えてる…!!

 俺は恐る恐る振り向き、声をかけたやつの顔を確認してみると…


 「…観念したようだな…。冷静な判断は嫌いじゃない…」


 そこにいたのは長身の…白い服を身にまとったイケメンだった…。青い瞳に緋色の髪の毛…。端正な顔立ちに綺麗な肌には息を呑みそうだ…。

 腰には鞘に収まった長剣が…。抜かれていなくとも伝わる威圧感…。ちょっとでも反抗しようものなら、瞬時に切り裂かれるだろう…。こいつは…ヤバイ…。

 …とにかく『潜伏スキル』を解除しとかねぇと…何されるか…



 フッ…



 「…なるほど…お前が噂の人間か…」


 イケメンは落ち着いた様子で俺の姿をじっと見ている…。なんか品定めされてるみてぇで気味が悪いな…。なにもんだ…。


 「お前は…」


 「私の名前はレイヴォルト。この国の聖騎士団長として身をおいている」


 「…聖騎士…団長…」


 「…『剣聖』…とも呼ばれているが…」


 …偉いやつなのは確かなようだ…。しかも『剣聖』って…あのファンタジー的な世界でよくあるあれだよな…。こう…めちゃくちゃ強くて…剣の扱いが上手いとか…。パルバリーナのやつ…こんなやつまで引き込んでたのか…。


 「…『欲望』に頼まれた…ってのかよ…」


 「…私としても不本意ではあるが…」


 「あんな人殺しに…不本意もくそもあるかよ!この国の『剣聖』なら…あいつと闘うくらいしろよ!」


 「…」


 俺の憤りに対してまったく反応しないレイヴォルト…。その本心はまったくもってわからねぇ…。

 クリスを捕まえるのが目的なんだろうが…そのせいで果物屋のおっちゃんが犠牲になっちまってる…。こいつは…その事をどう思ってんだ!

 俺の思考が伝わったのか…レイヴォルトは重い口を開き、自らの考えを述べていった…。


 「…今の私にとっては何より優先するべきは魔王の討伐…。そのためなら…あらゆるものを犠牲にする必要がある」


 「何が優先だよ!何が犠牲だよ!お偉いさんはそんなことでいちいち…あんな女の助けを求めるってのかよ!」


 「…そうだ…。人殺しだろうがなんだろうが…『欲望』の手を借りてでも魔王を仕留める…。それが我々の目的だ」


 …くそっ!ホントならボロクソに怒鳴りてぇが、こいつら人間にとって俺たちは敵…。世界を支配する…そんな恐ろしい思想をもった魔王一派と思われてんだろう…。何を言っても変わらない…。責めたって意味がないんだ…。


 「…さて…ここで大人しく捕まってくれるなら、こっちとしても助かるのだが…」


 「くっ…!この…!」


 「私から逃げられないことはわかるはずだ…。大人しく投降してほしい…」



 ジリジリ…



 俺たちとの間合いを詰めていくレイヴォルト…。このままだと一瞬で決着がついてしまう…。逃げるにしても結果は変わんねぇ…。どうすれば…どうすればいいってんだ!


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