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50 いざ!果物を届けに…

「さてと…このままこの道を進んだら…右にっと…」


翌日…。

とりあえず…俺はクリスと一緒に地図を便りに目的地へと向かっていたわけなんだが…。

けっこう遠いなぁ…。


市場からは大分離れてきたし…周りは少しばかり静かになってるし…。

まさか…場所間違えてねぇよな…。

それだけはマジで困る…。


「なぁ…クリス…。道…間違ってねぇよな?」


心配になった俺はクリスへと尋ねることに…。

男の癖に…とか言われそう…。


「まったく…お前は…。変なところで心が弱いな…。もっと自信を持ったらどうなんだ?男だろう…」


「うぐっ…そうなんだがよぉ…」


むぅ…。

なかなかに耳が痛いぜ…。


「…確かに人も少なくなっているが…道は間違っていないはず…。問題はないぞ…ユキ」


「そっ…そうか…」


…クリスの冷静な声を聞くと少しばかり落ち着いてきたぜ…。

とりあえず…早く仕事終わらせて美味しい果物手に入れねぇとな…。


それにしても…ここら辺はどういうとこなんだろう…。

あまり活気づいていないように見えるんだが…。

…少しばかり寂しい…。


別にスラム街ってわけでもないが…歩いているとなんか不安になってくるな…。


…まぁ…いいや!

大丈夫だろ!


「…っと…ここの角を曲がると…おっ!あの家か…」


多くの家屋に囲まれるように建っていたのは…少しばかり古びたお家だった…。


…木造のちっちゃな感じが妙にシンプルで…ちょっとした隠れ家的な感じがするんだよなぁ…。


所々蜘蛛の巣とかもあるし…。

住んでる人は気のいいおばあちゃんと見た!!


「ふーむ…これは果物届けてくれたお礼にご馳走してくれる…的な展開があるかも!」


「…なんのことを言っている?」


「ほら!クリスもあるだろ!年老いたおばあちゃんやじいちゃんの家でお手伝いして…美味しいご飯を食べるみたいな!」


「…よくわからん…入るぞ…」


くぅぅぅぅ!!

クリスのやつ…こういう美味しい展開には興味が無いのかよ…。

クールだなぁ…。



コンコン…


ガチャッ…



さっそく扉を開けて中を見てみると…おぉ…なかなかボロい…。

生活できないほどじゃないが…柱とか床とかホコリまみれだ…。

ホントに誰か住んでんのかなぁ…。


「失礼します…。果物を届けに参りました」


クリスは丁寧に声をかけるが…全然反応がない…。

まさか…寝てるとか?


よし…俺も言ってみるか…。


「すいませーん!果物届けに来たんすけど…」


すると…



トタトタトタトタ…



おっ!

足音が聞こえてきたぞ!

玄関の先の部屋から誰か来るようだな!

さて…気のいいおばあちゃんだといいんだが…。












「あらあらあらあら…まぁまぁまぁまぁ…。ありがとうねぇ…。助かるわぁ…」


ほぁぁぁぁぁ!?

なんてこったい!

まさかの美女だ!


漆黒に光る長めの髪の毛…。

すらりとしたボディ…。

やや膨らみのあるおっぱい!


スゴいな…。

予想の斜め上を行く展開だ…。


服装はボロボロだが恐ろしいほど綺麗な素肌が見え隠れする…。

実年齢はそこそこな気もするけど…ほとんどの男は一発で悩殺されるね!


「せっかくだし…上がってもいいわよ?美味しいお菓子でも用意するわ…」


おいおい…ただでさえ美人の女性に誘われちまったじゃねぇか…。

こんな美味しい展開は嬉しいね!


「そっ…それは嬉しいですけど…いいんすか?」


「あらあらあらあら…無理にとは言わないわよ?私からのごほうびみたいなものと思えば…」


ふーむ…。

それなら遠慮なく…



ギュッ!



「いててっ!!…何すんだよ!」


むぅ…なんてやつだ…。

クリスのやつ…突然俺の足を踏んづけてきやがった…。

けっこう痛かったぞ…。

クリスは俺の言葉を気にすることなく…美女に向かって口を開いていく…。


「…非常にありがたいことですが…今回はこのまま御暇したいと思います…」


「あらあら…そうなの…残念ねぇ…。久しぶりのお客様だから気になってたのに…」


美女は微笑みながらも落胆の表情を浮かべている…。

うーむ…なんかあれだなぁ…。

少しばかり気まずい…。

いくらなんでも少しくらいお話しするのもいいと思うんだが…。


…けっして美女のおっぱいに目が眩んだわけじゃねぇぞ?

念のため…。


…よし!

こうなったら…説得してやるか!


「なぁ…せっかくなんだから、少しくらい立ち寄ってもいいだろ?」


「…む…。う…む…しかしだな…」


「せっかくの旅行なんだからよ…これくらいの楽しみもいいだろ?ほら!お邪魔するぜ!」


「こっ…こら!そんな無理矢理…」


結局…俺はごねるクリスを引き入れて一緒にお茶することになった…。

クリスの表情は浮かないもんだったが…ちょっとくらいいいだろ!


「フフ…。ありがとうねぇ…。お姉さん…美味しいの用意するから…」


美女も少し喜んでるみてぇだ…。

ふぅ…俺いいことしてるな!

気分がいいぜ!




「はいはいはいはい…ごめんねぇ…。待たせちゃって…」


「いえいえ…マジでありがとうございます!」


うーむ…改めて思うんだが…めちゃくちゃ美人じゃねぇか…。

クリスといい勝負しそうだな…。


上品な微笑みからは貴族階級のような雰囲気が…。

貧しそうな感じだが、育ちは良かったのかな?


そんな美女が持ってきたのは美味しそうなたくさんのクッキー…。

香ばしい匂いが辺り一面に広がり俺の食欲を刺激するようで…。


おおぅ…ついヨダレが…。


「そうそう…お名前を言ってなかったわね…。私の名前はパルバリーナ…。パルさんって言ってもいいわよ?」


ほほぅ…なかなかいい名前だなぁ…。

聞いたこともないけど…耳に残りやすい…。


「えーと…俺の名前は…ナツです!」


「…私は…アリスといいます…」


俺とクリスはとりあえず偽名で自己紹介することに…。

ちょっと罪悪感もあるが、こうでもしねぇと後々ややこしいことになりそうだしな…。


「ふふふ…ナツ君にアリスちゃんね…。よろしく…」

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