41 果物店へ!①
そんな風に焦っていると…
「おっ…!そこのカップル!どうだい!ここの果物は美味しいよぉ!!」
突然…店の店主に声をかけられちまった…。
見たところ…たくさんのフルーツを扱ってるようで…。
バンダナを頭にかけながら商売をする…元気なおっちゃんだな…。
「いや…俺たちは別に…」
「いいからいいから!!こっちに来なよ!うまいからよ!サービスするぜ!」
いや…サービスっていってもなぁ…。
今は果物を買ったり食べたりする気分じゃ…。
「ふむ…せっかくだ…入ってみないか?」
「ふぇ?…クリス…果物好きだったっけ?」
「…そういうわけではないが…人間の食するものには興味があるからな…。一度食べてみたい…」
ほーん…。
まぁ…予定も全然立ててねぇし…。
果物を見るくらい…
「…んじゃあ…見てみるか…」
「はいよ!よかったら試食もできるからよ!楽しんでくだせぇ!!」
店主に誘われるまま…俺たちは果物店に入ることになった…。
―
…
「そんで…こいつが『ピーク』!この鮮やかなピンク色にはたくさんの甘味があってよ…女の子たちには大人気なんだよ!」
「ほーん…美味しそうじゃん…」
意外や意外…。
退屈な時間になるかと思いきや…この店主…相当なトークスキルをお持ちなようで…。
滑舌もしっかりしてるし…声もハリが出ている…。
しかも…多種多様な果物の話には引き込まれそうだ…。
こりゃ…果物を売っているだけではできねぇ芸当だわ…。