表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/270

33 メーラの思い①

「メーラ…。ユキはどうだった?」


愚民様と別れてから、私はすぐにクリス様のいる闘技場特等席に移動した。

私のできる限りのことをしたとはいえ、正直心配なのは拭えない。

もしかしたら、愚民様は力およばず息絶えるのではないか…。

そんな思いが駆け巡る。


…いけない…。

こんな顔では…クリス様に心配をかける…。


私はすぐに笑顔を作り、クリス様に応えた。


「安心してください…。ユキ様は元気ですよ。今回の決闘で勝つ気満々のようです」


「そっ…そうか…。ならよかった…」


クリス様の微笑みをみて安堵するものの、心のモヤモヤは消えない…。


もう私に出来ることはないのに…。





今回の決闘で使われる闘技場は、以前お二人が特訓で使った地下闘技場よりもはるかに規模がでかい。

何しろ国家予算の5%という莫大な予算を投じて建設されたのだ。


主な目的としては国家規模で行われる決闘がほとんど…。

たまに軍事演習を行ったり、災害が起きたときの避難場所としても利用される。


施設内には高級レストランに温泉まで用意されている。

すべては剣闘士や観客のためとはいえ、ほんとに贅沢だ…。


外観は他国の雰囲気を参考に、火山灰を利用したコンクリートを使用し、地震にも強くなるよう円筒形で作られている。

直射日光に配慮し、日除け対策として天幕も用意されているため、観戦するには都合が良い。


特等席は試合がよく見えるように、観客席の前列に配置されているわけだが…愚民様を心配しているクリス様にとっては複雑な心境かもしれない…。


周りを見てみると開始4時間前だというのに、多くの魔族、魔物たちが集まっている。

それだけ皆、愚民様の死を楽しみにしているのだろうか…。




「メーラ…どうした?…神妙な顔して…」


「っ!…失礼いたしました…」


いけない…。

つい表情に…。


「…何か思うことがあるなら…私に相談しても…」


「いえ…大丈夫です…。安心してください」


私はそう口にして心の中を悟られないように取り繕う…。


元はといえばデスマッチの案はこの私…。

フィールを納得させるための提案とはいえ、観客のこんな姿をクリス様に見せてしまうとは…。


…クリス様…。

本当に申し訳ありません…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ