30 猛獣と人間の戦い
ドッドッドッドッドッドッドッドッ…!
獣の突進はすぐ目の前まで…。
そして…
ドッシィィィィン!!
…グサッ!
「うっ…ぐぁぁぁぁぁ!!?」
真っ正面から受け止めたこともあって…鋭い痛みが体に走った…。
よく見りゃあ…角が肩に少し突き刺さってやがる…。
だが…クリスとの鍛練の成果もあってか、そのまま突き飛ばされることなく…猛突進を耐えきることができたぜ…。
すげぇな…俺…。
現実世界なら一発アウトだ…。
「ブッフォォォォォン…!!フッフッフッ…」
ズッ…ズズズズズ!!
それでも獣の動きは止まらねぇ…。
そのまま前へ前へ突き進もうとする…。
体の痛み…肩の痛みがよりいっそうひどくなってきた…。
「くっそぉぉぉ!!なめんじゃねぇ!」
グッ…!
俺はさらに足腰に力を入れて…力比べをしようとしたが、はっきり言って差は圧倒的…。
どんどん後ろに押されていき…踏ん張ろうにも限界が…。
こうなりゃ…
ギュッ…グッ…
右手で拳を作り上げると、俺は獣の目に向かって…
「くらいやがれっ!」
ぶちこんでやった…。
ドスッ!
目ン玉に直接…はなんか怖かったんで瞼上らへんをターゲットに…。
渾身の一撃を加えた瞬間…
「ブッフォォォォォン!?」
獣はのけぞり俺から一気に離れた…。
思った以上に痛かったようだ…。
そのまま後ろを向いて俺に目もくれず一目散に逃げていっちまった…。
「やったぜ…」
安心した次の瞬間…
ズッキィィィ…!!
ぐっ!…!
肩の痛みが…ぶり返してきた…。
なんか…頭もフラフラ…。
「おい!ユキ!しっかりしろ!」
「やべぇ…!早く手当てしねぇと…」
近くでクリスとウザインの声が…。
だが…そんな二人の声を最後まで聞くことなく…
俺の意識が途切れちまった…。