29 獣の咆哮
そのとき…
ガサゴソ…
突然…森の奥から何やら獣の気配が…。
暗いから何がいるかはわかんねぇが…赤い目を光らせてこっちを見ている…。
まるで…自らの領域を荒らされたことに憤っているような…。
なんか…荒い鼻息も聞こえてくるぞ…。
「…ユキ!ぼぉーっとするな!すぐに行くぞ!」
やべぇ…。
クリスのやつは気がついてないみてぇだ…。
さっさと俺の前を歩いていっちまったぞ…。
獣の赤い目はクリスの方を向き…そして…
「ブフォォォォォォォン!!!」
ドッドッドッドッドッドッドッドッ!!
くそっ!
あのやろう…まっすぐクリスの方へ突進しやがった…!!
俺はクリスを守るため…獣の行く手を阻むことに…。
「ブッ…フッフッフッ…フォォォォォン!!」
ドッドッドッドッドッドッドッドッ…!!
なんか…見た目は猪みてぇなやつだな…。
頭には巨大な角を生やしている…。
あんなもの…突然ぶちこまれちゃあたまったもんじゃねぇ!!
「!?ユキ!何を…!」
クリスも気がついたみてぇだが…獣の突進は止まらない…。
しゃーねぇ!
俺がこいつを止めてやるっ!
「くそ!こいよ!俺の大切なクリスをぶっとばす前に…俺が止めてやるよ!」
「…ブォン!!」
ドッドッドッドッドッドッドッドッ!!
獣の勢いはそのまま俺の体を吹き飛ばす勢いでやって来た…。
俺は足腰に力を入れ…衝撃に備えることに…。
「…ユキ!早く逃げろ!殺させるぞ!」
クリスの叫び声が響くが…逃げるわけにはいかねぇ…!
ちょっとくらい…かっこいいとこ見せてぇしな!