幕間 『欲望』の取引②
魔王を…仕留めるだと?
こいつ…何をいっているのだ?
「…貴様…どういう意味だ?」
「意味なんて…そのままよ?私とあなたたちで魔王を殺す…。それ以外に意味なんてないわ…。あなたたちにとっても魔王は目障りでしょ?」
「…仕留めるにしてもどうやって…」
「…近いうちに…魔王を含めた三人がこの国にやって来るから…隙を見て殺せばいいのよ…。私も協力するわ…」
「なっ…!?そんな情報…いったいどこから…」
「さぁ…?どこでしょう…?」
くそっ!
この女の言葉は信用できない…。
やはりここで…。
「…『欲望』…お前が協力するにあたって…こちらが差し出すものはなんだ?」
「…!グリムレック様!」
今まで沈黙を守ってきたグリムレックが重い口を開いた…。
鋭い視線はそのままに…パルバリーナの様子を見ている。
「グリムレック様!この女の言うことなど…」
「少し黙れ…レイヴォルト…」
「…っ!」
肌に突き刺さる強い圧力…。
グリムレックの言葉で私はそれ以上発することができなかった…。
「うふふ…そうねぇ…。こちらとしても色々欲しいものはあるけど…要求はひとつね」
「…なんだ?言ってみろ…」
「魔王と一緒にやって来るメンバーの中に人間がいるの…。男の子のね…。その人間を捕らえて…私たちに譲ってくれるかしら?」
…人間?
風の噂で魔王軍に竜を操る人間がいると聞いたが…そいつのことか?
グリムレックも不思議に思ったのか…パルバリーナへ疑問を投げかける…。
「…『欲望』…なぜそんなやつが欲しいのだ?理由はなんだ?」
「うふふ…残念だけど…これだけは言えないわね…。企業秘密なの…」
この女…いったい何を企んでいる…。
下手に関わってしまうのは危険な気がするが…。
だが…受けるも断るもグリムレック次第…。
どう答えるのか…。
「…こちらの答えは決まった…。お前との取引は…」