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23 突然の計画⑥
「…ユキ…そんなに旅行が楽しみなのか?顔がにやけているぞ?」
「ん?」
クリスのやつ…そんなに俺の顔がおもしれぇのか?
可愛い顔して笑ってるが…。
俺は平静を装おうとしたが…なんかちょっと焦っちまった…。
「なっ…なんだよ…」
「なに…お前のそんな顔を見るのは久しぶりだからな…最近は忙しかっただろう?」
「…まぁな…」
確かに…。
この世界に慣れてきたものの…慌ただしい日々が続いてたよなぁ…。
こう…息抜きの日も大事だわ…。
「一応言っておくが…人間との共存を図るための視察もかねているのだぞ?」
「わかってるって!ちゃんとシャキッとするよ!」
「フフッ…」
可愛いな…。
こんなクリス…結婚式以来だ…。
俺の気持ちを感じたのか…クリスの柔らかい唇から…優しい声が響いてくる…。
「頼むぞ?心に残る新婚旅行を期待しているんだからな?」
―
…
クリスの楽しそうな笑顔…。
俺はなんとしてもこの笑顔を守りたいと思っちまった…。
命に変えても…。
だが…その笑顔を守ることができなくなるなんて…
このときの俺は気がついていなかったんだ…。