21 突然の計画④
「うむ!そう言ってくれると思ったぞ!」
クリスの満足したような顔を見ると…なんか嬉しくなるな…。
ちょっと得した気分…。
これからのことは…なんとかなるだろ!
「さて…話もまとまったことですし…これからの予定についてお話ししたいと思います」
俺達の様子を見て…メーラは落ち着いた態度で今後の計画について説明してきた。
「まず…グリンシュテン王国への入国についてですが…幸いにも誰にも知られていない裏ルートがありまして…そのルートを使っていただきます」
「えっ!?裏ルート?不法入国じゃねぇか!」
俺の当然のツッコミ…。
しかしメーラはまったく動じない…。
「えぇ…そうです。不法入国です。魔王軍のトップたるのもの…。不法入国のひとつも出来ないようでは他の者に示しがつかないでしょう…」
「いやいや!んな…メチャクチャな…」
「とりあえずその裏ルートを使って入国していただきます」
むぅ…メーラめ…。
強引に話を進めていきやがった…。
…んでも…まぁ…。
人間の国に行くなら仕方ない…のか?
「入国したあと…これを被っていただきます」
バサッ…。
そう言って取り出したものは…何やら白い生地でできたフードのようなもの…。
なんだこりゃ?
「こちらのフードは被った瞬間に周りから探知されにくくなる…要するに隠れ蓑の働きをするものです…。愚民様ならともかく…クリス様の存在感は人間にとっては刺激が強すぎるので、これで誤魔化すわけです…」
ほーん…そんな便利なもんが…。
「このフードのボタンをはめる数でいくらか調整できます。例えば…一つはめると周りからは認識されますが魔物とは気づかれません…。全てはめると…ほとんど気づかれないようになります…」
へぇ~…。
こりゃいいな…。
ボタンを一つはめれば…クリスでも人間の店でお買い物ができるわけか…。
緊急時には全部のボタンをはめて逃亡できるし…使えるな…。
「ちなみに…このコートの効力が通用しない場合もあるので…その点もお気をつけください。万能というわけではありません…」
マジか…そこは気を付けねぇと…。