20 突然の計画③
「嘘だろ…グリンシュテン王国が…人間の領土?なに言ってんだよ!クリス!」
さすがにマズイ!
魔王が人間の世界に新婚旅行なんて…死ににいくようなもんだ!
敵に顔を見せるのは…俺もやりたくねぇ…。
「自分の命をさらして楽しむなんて…いくらなんでも…」
俺の非難に…クリスは終始落ち着いた様子で淡々と答えていく…。
「む?なんだ?これから人間との共存を図るのだぞ?人間のことを知る必要があるなら…向こうの領土に行くのも大切だ」
「いや…だからって…新婚旅行で行く必要はねぇだろ!」
「だからこそだろう…。お前と一緒にこうしたことをしなければ…野望を達成することも遅れてしまう…。なに…危なくなったら私に任せろ!」
「いや…でも…その…」
う…ホントなら俺がツッコむべきなのに…クリスに言い負かされそうだ…。
俺のオロオロした姿に呆れたのか…メーラがトドメの言葉を口にする…。
「はぁ…愚民様はクリス様のことが信用できないのですか?」
「うぐっ…」
「結婚式であれほど誓いの言葉を並べ立てたのに…危険が迫ると諦めるのですか?」
「うっ…!」
くそっ!
ダメだ…!
反論できねぇ…。
なんとかして納得させたいけど…何も言葉が出ねぇ…。
でも…
…そうだよな…。
魔王軍の軍師…そして魔王のパートナーである俺が…こんな調子じゃあ…。
よし!
男らしく…大船に乗った気分で行くか!
「…くっそぉ!わかったよ!そこまで言うなら…俺もクリスのこと信頼して…人間の国だろうが…地獄だろうが一緒に行ってやるぜ!」