13 ヴァンパイアのみんなと…③
「まったく…我らヴァンパイアにとっても人間との友好関係は重要だからな…。頼むぞ…」
「…?そんなに重要なのか?」
初耳だな…。
ヴァンパイアと人間との関係はかなり複雑なはずだ…。
できればノータッチの姿勢でいるかと思ってたんだが…。
「まぁな…。ヴァンパイアとしても人間との取引は必要だ。過去の因縁は根深いが…なんとかしておきたい…」
「ほーん…ちなみに人間との取引って…何が欲しいの?」
「…人間の血だ」
ひぃぃぃぃ!!
めっちゃこえぇよ!
せっかく人間との友好関係を築きたいってのに…逆にヤバくなるわ!
そんな俺の心情を悟ったのか…フィールは冷静に説明してくれた…。
「…勘違いしては困るが…こちらが手に入れたい量はそこまで多くない。お前が思っているよりずっと少ないはずだ…」
「でもよ…ヴァンパイアは血を吸う生き物だろ?そんなもんで大丈夫なのか?」
「問題ない。我々にとって生き血は生活に必要なものだが…一ヶ月間で一人あたりの必要摂取量は舐める程度だ。…それだけで日常生活は苦もなく過ごせる。ただ…長い期間摂取しない場合、禁断症状を起こす…。一応代価品はあるが…できればより順応性の高い人間の血が必要なのだ…」
「ほぉ…初めて聞いたわ…」
なるほどね…。
禁断症状を起こすなら仕方ないか…。
量もそこまで多くないなら…人間としても用意できるかも…。
一ヶ月に数回、献血を行うと考えれば…。
「…ちなみに…今までは…」
「…そういうことは聞くな…。だいたいわかるだろう…。」
「うっ…わりぃ…」
…だよな…。
昔は血気盛んなフィール…。
始末した人間の血で成り立ってたんだろうな…。
「今は…申し訳なかったと思っている…」
…人間に対する罪悪感…。
今のフィールはそれを覚えちまった…。
この先…それに押しつぶれなきゃいいが…。