13 決闘の取り決めとは…
「…ちょっ…待ってくれって!そんなに引っ張るなよ…。結構痛いんだぞ!」
「まったく…愚民様は…。時間もないですから、早いに越したことはないでしょう…。行きますよ」
ジャラ…ジャラ…。
スタスタスタ…。
場所は魔王城の廊下…。
俺は首に鎖をつけられた状態で、メーラに引っ張られながら歩いている…。
なぜこんなことになっているのかと言うと…
一
…
「決闘の詳細な取り決め?なんで今そんなことしなきゃならねぇんだよ…。こっちは時間ないのに…」
「私も同意見ですが…。フィールがどうしても話し合いたいと…。特に開始時間やルールについてはしっかりと決めたいらしく…」
「はぁ…まぁ、しゃーねーけど…。でも、俺が行く必要あるの?」
「愚民様がいないと、フィールも怪しむでしょう…。逃げ出したんじゃないか…と誤解されてしまうと厄介です。」
「それもそうか…」
「とりあえず、愚民様は下手な動きはしない方がいいでしょう…。ある程度の取り決めはメーラが行いますから、安心してください」
「…安心できねぇ…」
「何か?」
「…何にも…」
…
一
というわけだ…。
形だけでも捕らえているように…ということで、鎖までつけられたが、ちょっと痛いぞ…。
「さて…ここですね…」
メーラと共に立ち止まった扉は、作り込まれた装飾が目立つ禍々しいもの…。
円卓会議室…。
ここで詳細な取り決めを行うらしい…。
「ここでは本来、限られた魔物たちによる話し合いが行われます。あまり使用されないのですが、今回は特別ということで」
「へぇー…」
「さて…入りますよ…」
この扉の奥にフィールが…。
緊張するなぁ…。
ガチャ…キィィィ…。
一
…
「…ふん…。しっかりと捕らえているようだな…。安心したよ」
俺たち二人が入ると、円卓に座っているフィールが出迎えた。
俺にたいしては侮蔑の眼差しを向け、かなり苛立っているようだ。
メーラは落ち着いた様子で、フィールに語りかける…。
「当然です…。そもそもこの一騎討ちはメーラが考えたのですから…。ここで人間を逃がすなど…幹部としての立場が危うくなります」
よく考えると、俺たちかなり危険なことしてるよなぁ…。
メーラはアイテムの調達、俺とクリスはひそかに特訓してるんだから…。
ちょっとでもバレたら、俺だけじゃなくメーラもクリスも立場がヤバイ…。
改めて二人には申し訳ねぇ…。
とりあえず、俺たちはフィールに向かい合う形で椅子に座った…が
「おい!人間!お前は立っていろ!」
うそーん…。
人間だからって、ここまで冷遇されるなんて…。
ホント、フィールって人間嫌いなんだなぁ…。
仕方なく、俺はメーラのとなりで立つことにした。
…どうやら、集まったのは俺たち三人のみのようだ…。
他の魔物は誰もいない。
ざわざわしないのはいいけど、これはこれでこぇぇ…。
「さて…全員集まったことですし…決闘の細かい取り決めを話し合いましょうか…」
メーラ…お前はホントに落ち着いてるよなぁ…。
すげぇわ…。
こうして、話し合いが始まったが…。
さーて…どうなることやら…。
―
…
「…まず一つ…。お互いのどちらかが死ぬまでのデスマッチ…。この点については異論はないな?あのときは口約束だったから、今一度確認したい。いいな?メーラ」
意外にも、フィールって約束ごとには慎重なのね…。
死ぬのは嫌だけど仕方ない…。
「はい…その点についてはご心配なく。お互いのどちらかが死ぬ…それが、今回の決闘の勝利条件です。しかし…」
ん?
どうしたんだ?メーラ…。
「どうもこちらの人間は殺すことには慣れていない様子でして…。フィールが降参したら人間の勝利…という条件も取り付けたいのですが…」
「なっ…!!?ふざけてるのか!私が…こんなやつに降参するなど…断じてありえん!!」
おいおい…。
また変なことになったぞ…。
…でも、メーラの言葉も俺からしたら当然か…。
俺はフィールを殺す気なんてハナから考えちゃいねぇわけだし…。
「当然です…。しかし、仮に…もし仮にもこの人間が勝負を有利に進め…それこそ、あと一歩というところまでフィールを追い詰めたとしたら…。おそらく、命をとるようなことはしないでしょう…。そうなると、この決闘そのものが茶番になってしまいます…」
確かに…。
メーラって意外とよく考えてんなぁ…。
そこまで考えてなかったわ。
「…いいだろう…。絶対にあり得ん話ではあるが…私が降参したら人間の勝ち…だ…。」
いやぁ…よかった…。
勝ち負けの定義についてはっきりさせないとね…。
「…勝利条件についてはそれでいいだろう…。次に…決闘の時間だ…。この点についてだが…私は深夜の12時を譲る気はない!」
…やっぱり…。
深夜の12時…。
予想通りとはいえ…仕方ないって言うか…。
『…愚民様…どうされます?』
メーラのテレパシーが俺の頭に届いたとき、内心悩みまくった…。
けど、もう後戻りはできねぇよな…。
メーラ!とりあえずその時間でOKしといて!
『…了解しました…』
返事をしたメーラは、表面上はフィールの要求に折れる形で応じた。
「…深夜の12時…わかりました…。その時間に決闘開始としましょう…」
「…やけに素直だな…」
「はい…メーラとしても、滞りなく決闘を行いたい気持ちもありますので…」
「ふん…」
その後も、フィールとメーラの話し合いは続き、いつのまにか相当な時間が経っていた。
気がつけば夜の10時…。
もう、俺の足はヒーヒー言ってるよぉぉ…。
「よし…とりあえずこんなところか…。」
「そうですね…」
ふぅ…!
やっと終わったか…。
やれやれ…。
「ふん!人間…お前が死ぬ時を楽しみにしてやる!それまで、震えているんだな…」
去り際…フィールは鋭い視線を俺に向けて、ドアを乱暴に閉めて出ていってしまった…。
俺の死ぬ時か…。
わりぃが…こんなとこじゃ死なねぇ…。
俺が死ぬのはもっとずっと先に決まってんだろ…。
「…この中二病…」
だから!
心は読むなって!




