2 良かった…
「…ユキ…顔をあげてくれ…」
「…でもっ…」
「私たちを見てくれ…」
クリスのはっきりとした俺への言葉に…恐る恐る顔をあげる…。
そこにいた二人の表情は…
「…そんなことで私たちが怒るわけないだろう…バカなやつだな…」
「そうですよ…愚民様…」
柔らかな微笑み…。
俺を優しく受け入れてくれた二人がいた…。
「クリス…メーラ…」
「元々この世界を作ったのはユキではないだろう?」
「…だけど…俺はこの世界を…遊びとして…楽しんでた…」
「だが…フィールとの決闘で流した血は本物だ…。今のユキはその痛みを知っている…」
「っ!…」
「この世界の厳しさを知っているなら…ユキは立派な住人だ。咎める必要はないし…責任を感じることもない…」
…俺は…嬉しかった…。
今まで異世界から来たことに…少なからず後ろめたさを感じていたのに…。
二人にこうして受け入れられた…。
この二人に話して…本当に良かった…。
「うぅ…ぐすっ…うっ…」
あまりにも感極まっちまったぜ…。
なんか目から…汗みてぇなもんが…。
鼻もなんかつまってきた…。
ぐっ…!!
泣いてなんかいねぇ!!
「ふふっ…初めてみたぞ…お前の泣き顔…」
「はぁ…こんなことで泣くなんて…軍師としての自覚があるのですか?」
「うっ…うるせぇ!」
こういうの…久しぶりな感じだな…。
すげぇ…心がポカポカする…。