心を縛られた聖騎士
お待たせいたしました。
二章投稿します。
よろしくお願いいたします!
「レイヴォルト様…そろそろお時間です」
「あぁ…わかっている。すぐに用意するよ…」
王国一の聖騎士団に所属して7年…。
そして団長に任命されて4年か…。
今思うと長いようで短い月日だった…。
それまで私は強くあろうと…必死に剣を振り続けた…。
幼き頃…命より大切な彼女を守ることができなかった贖罪のために…。
身体中に傷をつけ…血を流し…それでも弱音を吐くことなく生きてきた。
いつか…彼女の笑顔が見れると信じて…。
だが…今もなお彼女の笑顔を見ることはできないままだ…。
いや…それだけではない…。
思えば多くのものを失ってきた…。
剣を指導していただいたかつての師も…私の前から去っただけでなく…。
両親も…かつての友も…皆私を化け物だと罵ってきた…。
仕方のないことなのかもしれない…。
多くの魔物を切り殺し…多くの命を奪い…誰も私に勝つことさえできない…。
レイヴォルトは人類最強の戦力…。
魔王に唯一立ち向かえる人間…。
そう呼ばれるようにもなったな…。
どこで間違ってしまったのか…。
幼き頃のような思い出に…再び戻ることはできないのだろうか…。
魔王を打ち倒すことなど…今の私にとっては…。
…いや…こんなことを思うのはよそう…。
今の私は聖騎士団団長…そして『剣聖』としてのレイヴォルトだ…。
しっかりしなくては!
「おはようございます…これから『天啓神教会』の皆様と会談することになります…。お忙しいと思いますが…」
「あぁ…大丈夫だ…。今日も聖騎士団団長として職務を全うするよ…」
そして今日も…明けることのない日々を過ごすことになる…。