12 クリスの美しい体を洗って…
…ふーむ…。
それにしても…。
ふつくしい…。
ん?
何がって?
決まってるだろ?
クリスだよ!
バスタオルで胸から下を覆っているとはいえ、一目見ただけで衝撃を受けちまう…。
染み一つない真っ白な肌!
ほっそりとした二の腕!
官能的な鎖骨ライン!
そして…
豊満に育っているクリスのおっぱい!
いつもは鎧なんか着ているから、どんな形をしているかよくわかんなかったが…。
こうしてタオルに包まれていると、すんごく整っている!
型崩れなんてしていない!
まさにパーフェクツッ!
うーむ…みた感じこれはAとかBよりもさらに大きいな…。
無駄に大きいわけではなく…しかし、平均以上…。
バスタオルさえなければ、何カップかわかるのに…。
くっそー!
もうちょっとなんだけどなぁ…。
「…おっ…おい!何をそんなに見ている!恥ずかしいではないか!」
「おっ…おぅ…。わりぃ…」
いやぁ…つい見とれちまったんだよ…。
とは言わないよ?
ぶっとばされそうだし…。
「…っ!?」
しまった!
そう言えば、俺の下半身があられのない姿になっているのに気がつかなかった!!
シュッ!…サッ!
俺はすぐさま濡れたタオルで己の分身を保護する…。
…見られてないといいが…。
「なっ…なぁ…もしかして…見ちゃった?」
「見たって…何をだ?」
「いや!みてないならいいんだ!みてないなら…」
ふぅ…かろうじてR18ラインを守ったぞ!
俺の分身を見られたらこの作品的に大変なことになってるからな…。
「…ていうか…なんで男湯にいんだよ!」
「なっ…何を言う!久しぶりの二人きりなんだぞ!風呂ぐらいいいではないか!」
いや…風呂だからよくないんだけどな…。
ラブコメ漫画でも、いきなり男と女が一緒に風呂入ったら大事件だぞ?
…まぁ、そんなこと言っても、わかんないだろうからそれ以上は言わないが…。
「…しょうがねぇな…」
すると、クリスがもじもじしながら口を開く。
「それよりも…早く…その…洗ってくれないか?」
オゥ!!
そう言えばそうだった!
クリスの魅力的な体を洗うんだったな!
しかし、一歩間違うと一発でラインを突破しちゃうからな…。
「あっ…洗うけどよ…ええと…背中だけだぞ!?前は…自分で洗えよ…」
「…そっ…そうか…そうだな…」
顔を赤くして、ややがっかりしたようなクリス…。
いったい何を期待してたんだ?
俺だって、ホントならクリスのおっぱいをモミィモミィしながら洗いたいが、そこはR18ライン…。
守るとこはしっかり守るよ!
…残念だけど…。
一
…
「…とりあえず…このハンドタオルでごしごし擦ってくれるだけでいいから…。あんまり強くするなよ?」
「おぅ…」
場所を入れ替わり、俺はクリスの後ろで泡立てたタオルを片手に待機していた。
なんかキンチョーすんな…。
…
「…クリス…とりあえず…バスタオルを剥がしてくれ…。背中が洗えん…」
「…!?…そうだな…すまん…」
「俺…目は…閉じるからよ…」
「なっ!?…閉じるのか!?」
「…いや…閉じるけど…」
「…わっ…わかっ…た…」
クリスは何を考えてんだ…。
R18ラインのために目を閉じるというのに…。
もう少し恥じらいとか…。
「…見てほしかったのに…」
「はぇ?何を?」
「なんでもない!もう!ユキは…知らん!!」
いや…一方的に怒られても…。
まぁいいや…。
俺は目を閉じて、クリスがタオルを剥がすのを待ってみる。
ハラリ…。
おおぅ…。
目を閉じてもわかる…。
タオルを剥がした瞬間、甘くいい匂いがそこらじゅうに漂ってくる…。
普段はどんな香水かけてんだ?
もしかして、いつもいい匂いがしたりして…。
ふぅ…。
平常心平常心…。
「…よし…んじゃ…洗うぞ…」
―
…それにしても…。
魔王なのに…きれいだよなぁ…。
魔王っつったらあらゆる戦で敵をなぎ倒し、多くの傷を受けているものだと思ったけど…。
クリスの体を洗ってみてわかったのだが…大きな傷跡もないように思える。
まぁ目を閉じて洗ってるからわからんが、背中を洗った感じでは、スベスベして気持ちいい…。
どこにも引っ掛かることなく、ハンドタオルで洗うことができる。
…なんか、もっと洗ってやりたくなるような…。
「…ユキ…いくらなんでも力が弱いぞ…。もう少しだけ…その…擦ってくれ…」
「へ?でもよ…傷ついたら…」
「ハンドタオルを擦っただけで体に傷なんて…つかない…。気にしなくて大丈夫だ…」
「そっ…そうか?んじゃ…」
うーん…。
正直なところクリスの体を擦る力はこれくらいでいいと思ったけど…。
なんか、宝石とか取り扱うような感じがして、気が引けるんだよなぁ…。
でも、本人が言うんだからいいか…。
ゴシゴシゴシ…キュッ…キュッ…。
「うん…そんな感じだ…。ありがとう…」
くっそー!
照れるじゃねぇか!
感謝したいのはこっちなのに…。
女の子の体を洗うなんて初めてなんだぞ!
「なっ…なんだよ…感謝してもなにもでねぇぞ?」
…なんて強がりを言っちまったが、内心は心臓バクバク状態だ…。
こんなに音鳴らすのは、初恋の女の子に告白したときくらいだぞ…。
…そのあとフラれたけど…。
…って!
んなことどうでもいいだろ!
なに考えてんだ!自分!
「…ユキ…お前は…フィールのこと…どう思っているんだ?」
お?
突然クリスがたずねてきたぞ…。
なんか実に真剣な雰囲気だ…。
「フィールは…まぁ…その…スッゲェ怖いし…。なんか…俺が勝てそうなイメージとか浮かばねえぐらい強そうだし…」
「要するに近づきたくはない…というところか?」
「…まぁ、そんなとこだ…」
「だろうな…」
うぅ…。
気まずい…。
突然どうしたんだ?
「…ユキは知らないだろうが…フィールは元々孤児でな…。小さい頃に家族を失ったと聞いている…。父親は戦争で…。母親や兄、弟は人間に血を抜き取られて殺された…らしい…」
…そういや聞いたことあるな…。
ヴァンパイアの生き血は高値で売れるとか…。
ネトゲの中の話とは言え、こうして生々しい話を聞いていると、すごくキツイ…。
でも、確かワンスラってここ最近実装されたネトゲだよな…。
フィールの過去までプログラムされてんのか?
うーん…ややこしいな…。
こういうとこはよくわかんねぇ…。
メーラにでも聞いてみよう…。
「ユキ…私は…人間が愚かであるとは思わない…。だが、フィールの過去のことを思うと…自分のやり方は…正しいのか…正直迷ってしまう…」
クリスのやり方…。
魔物と人間との共存か…。
確かに…迷うよな…。
「私のやり方は…間違っているのだろうか…」
クリスがいつになく落ち込んでいる…。
こんなクリスは初めてだ…。
…なら、俺が励まさないとな…。
仮にも魔王軍の影の軍師だし…将来は夫婦になるかもしれないしな…。
「…クリスのやり方は…間違ってねぇよ…。今は大変だけど…いつか…報われるときがくるさ…。」
「ユキ…」
「それに…俺がいる…」
少しだけ小っ恥ずかしいが、最大限の言葉で元気付ける。
「クリスのやり方を批判するやつがいても…俺だけは味方だ…。だから…思いきって『世界侵略』しようぜ…」
ホントは赤の他人なのに…なんで俺はこんな言葉が出るんだろな…。
自分でも不思議だわ…。
俺のなかに本物のユキってやつがいるんだろか…。
「…抱き締めてくれ…」
「えっ…」
「…ユキが抱き締めてくれたら…少しだけ落ち着きそうなんだ…」
意外だな…。
まさか、こんな真剣なシチュエーションで抱き締めてくれって…。
でも…。
断れねぇよな…。
「…ん…」
「…」
俺は目を閉じたまま、背中から抱き締めた…。
両の腕から伝わる温かい体温…。
女の子を抱き締める感覚ってこんなもんなんだな…。
「ユキ…フィールに負けるなよ…。そして…できるなら…あいつを助けてやってくれ…」
当たり前だ…。
誰も死なせはしねぇ…。
俺はそのためにここにいるんだから…。




