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幕間 結婚式

「汝…あなたはこの女性を健康な時も…病の時も…富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い…敬い慰め助けて変わることなく愛することを誓いますか?」


「うっ…はっ…はい!ちっ…誓います!」


あれから…。

城の復興も順調に進み、以前のような立派な魔王城がそこにはあった…。

城壁も庭も綺麗なまんま…。

まさかこの短時間でここまでできるなんて…。

マジでここのやつらってすげえよな…。

俺なんかちょっと働いたらへばっちまったよ…。


んでた…。

ついに俺とクリスの結婚式が始まったわけだ…。

ホントなら教会でやってもよかったんだけど…綺麗になった魔王城で行うことに…。

結婚式はきらびやかなヨーロッパ風の大庭園で…。

いろんな装飾で飾り付けられ、レッドカーペットまで敷かれていやがる…。

なんつーか…やりすぎだろ…。


結婚式を執り行うのはメーラが担当することに…。

こういうのって大抵は男がやるもんだと思ったけど…黒の服に身を包む姿はなかなか似合ってた…。


誓いの言葉を促す姿は神父っぽい…。

スラスラとしゃべっている姿にはビビっちまったよ…。

おかげで返事するときミスった…。


「おーい!返事が面白いことになってんぞぉ!」


「ふぅ…なのね…」


「まったく…」


俺たちの後ろから冷やかしや落胆の声が…。

くっそー…。

なんてやつらだ!

こっちは緊張してんのに…。


ウザインにティナ…フィールといった魔王軍の面子はもちろん、多くの魔物たちが参列している…。

皆この日を楽しみにしてたんだろな…。


「…ウザイン…。神聖な儀式です。お静かに…」


「すいやせん!黙っときます!」


メーラの注意でなんとかこの場は落ち着いたけど…やっぱり俺はドキドキだ…。


今は太陽の光が眩しい昼間…。

参加しているヴァンパイア達は、フードを被って太陽光の影響を押さえている。

だが…誰もそんなことを咎めるようなことはしない…。

なんたって魔王さまの結婚式なんだ…。

変に荒らしてもダメだろ…。


「汝…あなたはこの男を健康な時も…病の時も…富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い…敬い慰め助けて変わることなく愛することを誓いますか?」


「はい…誓います…」


横にいるクリスは落ち着いた様子で誓いを立てる…。

毅然とした様子にピリッとした雰囲気が漂いそうだ…。


だが、ウエディングドレスに身を包んだ姿は…その…マジで美しかった…。

天使のよう…なんて言葉じゃ足りねぇ…。

清純を表したかのような純白…。

あらゆる厄災から守るように広がるベール…。

無駄な装飾のない姿は…純潔を守ってきたようで…。


俺もタキシードを着ちゃいるが…クリスの美貌に霞んじまった…。


メーラは俺たちの様子を見て…確認の言葉を口にする…。


「あなた方は…自分自身をお互いに捧げますか?」


「うっ!…ははげまふっ…」

「はい…捧げます」


あぁぁぁぁ!!

くそっ…舌かんだ!!

いてぇ…!


それでも、俺の痛みとは別に…儀式はたんたんと進められた…。


「ユキ様…あなたはこの指輪をクリス様に対する愛のしるしとして彼女に与えますか?」


「はひっ!…あたへまふ!」


うぅ…まだ舌がいてぇ…!!

カッコよくしたかったのに!


「クリス様…あなたはこの指輪をユキ様に対する愛のしるしとして受けとりますか?」


「はい…受け取ります…」


クリスは相変わらず冷静に返事をしている…。

…よーし!

次はしっかりやってやる!


「クリス様…この指輪をユキ様に対する愛のしるしとして彼に与えますか?」


「はい…与えます…」


「ユキ様…あなたはこの指輪をクリス様に対する愛のしるしとして受けとりますか?」


「…はいっ!…受け取ります!」


よっしゃ!

ちょっとあれだが…なんとか言えたぞ!


「では…指輪を交換してください…」


指輪か…俺高校生なのに…指輪交換とか初めてなんだけど…。

俺達はお互いに指輪を取りだし、それぞれ指にはめ込んでいった…。


なんか…恥ずかしいぜ…。

クリスもなんか頬が赤くなっているような気がするし…。


やっとの思いで…指輪をはめ込んでいくと…そう…。

ついに…あの瞬間がやってくるわけだ…。


「それでは…お互いに誓いのキスを…」


キス…。

これで三度目になるが…結婚式でのキスは訳が違う…。

なんたって心に残るんだからな…。

変なことはできねぇ…。


ベールを上げたクリスの顔は少し恥じらいを見せてはいるが、覚悟を決めた目をしている…。

俺も…覚悟…決めなきゃな!


お互いの顔が近づき…吐息が触れ…そして…。


「ん…!」

「ん…」


唇は重ねられた…。

…クリスの体温が感じられる…。

お互いに目を閉じた状態…。

周りの様子なんてわかんねぇ…。

でも…このときの思いは…忘れることはないだろう…。


やがて唇を離し…お互いに見合う…。

一瞬…時間が止まったなんて…思っちまったぜ…。


そのときのクリスは…誰よりも綺麗だったから…。






「俺…なんかでいいのか?」


「ふふっ…何を言っている?あれだけの時間を過ごしたんだ…自信を持て…」


「でも…」


「…ユキもお前のことを認めているんだ…私もお前のことを信用している…。自信がないなら…その分頑張ればいいだろう?」


「そっ…そうだな…」


「それに…お前のためなら…」


「えっ…?」


「お前のためなら…世界と戦える…」






…クリス…俺…頑張るよ…。

クリスのために…

ユキのために…

ここのいる皆のために…

死ぬ気で…





だって…俺は…





クリスのことを…愛してるんだから…。

本編はあと二話くらい続きます!

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