132 夜はこれから…
「なるほど…事情はわかりました…。まさかクリス様にバレるとは思いませんでしたが…特に問題もないなら安心ですね…」
「あぁ…ちょっとビビったけど…ユキってやつのおかげだわ…」
あのあと、俺とクリスは二人一緒にあがるのも恥ずかしい…ということで別々に上がることに…。
先にクリスが…そのあと俺が上がったわけだが、特に姿を見られたわけでもなく、騒動にもならなかった…。
まぁ、あんなキスのあとに一緒にあがるとこ見られるとめんどくさいよな…。
上がりたてぽかぽかな俺は今回の話を伝えるため、すぐにメーラを探してみたわけだが…すっげぇ時間かかったわ…。
まさか…20分近くうろうろするなんて…。
やっと見つかったときは全身の力が一気に抜けちまったぜ…。
さっそく疲労困憊の状態で風呂での会話を話すことに…。
「…ユキ様がこの世界にいる…。それは間違いないのですね?」
「あぁ…クリスも俺も声が聞こえたからそれは間違いないと思う…。死んでも完全には消えてねぇってことなんだろうけど…」
「…初めて聞きますね…。そのような前例は聞いたことがありません…」
メーラも複雑な表情を浮かべながら唸るが、ユキの存在に安堵した様子が伝わってくる…。
…よかった…。
「ユキ様の件についてはわかりました…。こちらで色々と考えてみましょう…。…さて…話が変わるわけですが…それでなんと答えたのですか?」
「ん?」
なんだよ…妙に怪しいぞ…。
メーラの表情はいつも通り仏頂面だが、なんかニヤニヤしているような感じがする…。
「とぼけないでくださいな…。クリス様との結婚…結局はすることになったのですか?」
「むっ!!…このやろ!そういうことはだな…ぬぅ…!!」
くっそー!
メーラはいつもこうやって俺をからかうからムカツクんだよなぁ…。
俺は恥ずかしかったがヤケクソ気味に答えてやった…。
「…そうだよ!俺はあいつと一緒にいたいから…結婚すんだよ!悪いか!」
「ふふっ…。…いいではないですか…これからの新婚生活が楽しみですね…」
こいつ…なんか俺たちの仲を楽しんでやがる…。
むちゃくちゃ悔しいぜ…。
「さて…それではお風呂も上がったことですし…部屋を用意しておりますのでそちらへ…」
「へっ?俺…城の修復作業続けようと思ってたんだけど…」
「今の愚民様ではむしろ足手まといです…」
「なっ!!?」
なっ…なんだ!?
今日のメーラはやけに調子がよすぎるぞ!!?
なんか…今の俺じゃあ太刀打ちできない気がする…。
「あぁ…そうそう…これもお伝えするべきですね…」
メーラはふと思い出したのか…俺に向き直ると、またとんでもないことを口にした…。
「今日の夜はクリス様と一緒に過ごしていただきます…。寝るときも一緒なので期待してくださいな…」
…ほぁぁぁぁぁぁぁ!!?