121 愛の契りを今ここに…
「…どうやら…無事解決…ですね…」
「あっ…あぁ…」
愚民様とクリス様のキスシーンを見せられた民衆はそれぞれ異なる反応をしていた…。
あるものは絶句し…あるものは見つめ…さらにはうっとりするものまで…。
だが、そこには一切の負の感情はない。
横で見ていたフィールも表情は困惑しているが、頬を赤く染めている…。
きっと二人のキスに影響を受けたのだろう…。
「うひぃー!スゴいね!!ルル…こんなキス見たことなーい!!」
「ミミもぉー!!いいなぁ…ミミもやってみたーい!!」
いたずら好きなルルとミミも言葉は軽いものの、顔は真っ赤…。
両手で目を覆い尽くしながら、興味津々な様子で指と指の間から見ている始末…。
さて…そろそろですね…。
「皆さん!もう納得していただけましたか?お二人は幼少の頃から愛の契りを結んでいた仲なのです!これ以上お二人を侮辱するのであれば…私が許しません!」
周りに響く私の声ではっとなった民衆…。
誰の囁き声も聞こえない静寂が広がりだす…。
そうしていると…
パチパチパチ…
誰が叩いているのか…拍手の音が…。
おそらく二人を祝福するべく、つい鳴らしてしまったのだろう…。
…小さな音はやがて周囲を巻き込み、盛大なものへと開花していく…。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…!!!
「うぉぉぉぉお!魔王様バンザーイ!!!」
「お二人に栄光あれぇぇ!!」
「くっそぉー!羨ましい…!」
「結婚したら別れんじゃねぇぞぉ!!この童貞野郎!!」
まったく…調子のいい…。
さっきまでお二人を馬鹿にしていたというのに…。
いや…お二人の抱擁…接吻を見ていれば心が変わるのも無理ないのかもしれませんね…。
それにしても…
これだけの大歓声のなか…まったく気がついていない愚民様とクリス様には感服いたします…。
唇さえ離さない…。
それほど集中しているのですね…。