119 最後の覚悟…
「おっ…おい！ユキ！やりすぎだ！」
「うっ…おぅ…わりぃ…。キューちゃん…サンクス…」
「キューン…クルルルル…」
クリスにこっぴどく責められた俺は、すぐにキューちゃんを落ち着かせるため…白き巨体を撫でることに…。
気を良くしたキューちゃんはすぐに体を縮こませ、かわいい鳴き声を発した…。
ふぅ…ちょっとドキドキした…。
「どうだよ！俺の実力…納得したか！このくそったれども！！」
俺は声の出せる限りをつくし、大気を震わせる勢いで叫んだ…。
「うぅ…くっ…こいつ…！」
「こんなやつ…なんで…ちくしょう…」
「だめだ…勝てる気しねぇ…」
完全に戦意を喪失した民衆…。
もう大丈夫みてぇだ…。
俺のことを完全に認めた…わけじゃなさそうだが、なんとか窮地を脱したようだぜ…！
ちょっと強引だったけど…これから長い時間かけて認めてもらうか！
『いえ…まだです…愚民様…』
ほぁっ！？
この声…メーラ！？
どういうことだよ！
まだって…。
『彼らは…まだ愚民様とクリス様の仲までは認めておりません…』
うっ…そういや…俺の力…つか、キューちゃんの力を見せただけだわ！！
どうしよ…。
『どうするべきか…愚民様ならわかるのではないですか？』
はぇ？
どうって…。
『私からは言いませんよ…こういうことは自分で考えてください…』
ちょい！
待てって！
わかんねぇって！
教えてくれ！
メラ○もーん！！
『ふふっ…それでは…』
…なんだよ…最後に笑いやがって…。
どうしろって…。
「…ユキ…？」
うっ…。
そういや…クリスと一緒だった…。
さっきまで無茶苦茶な説教をしてた手前、恥ずかしいんだが…。
そういや…手も繋いでたぞ！？
くっ…なんてシチュエーション…。
俺の顔を見るクリスの表情にはほんのちょっぴりの困惑が…。
民衆を落ち着かせたから泣いちゃあいねぇが…。
…あっ…。
そうだよ…。
何を迷ってんだ…。
あるじゃねぇか！
俺とクリスの仲を認めてもらう方法！！
ちとあれだが…やってやるぜ！
「おい！！お前ら！そういや…結婚のことも気になってたよなぁ！！？」
突然の話題転換…。
いきなり『結婚』について問われた民衆は恐怖の表情を浮かべながら、怪訝な顔をする…。
「なっ…ななななに…言ってんだ！さっさと…」
「けっ…けけけけけ…結婚！？」
「知らねぇよ！早く…こっから消えてくれぇ！」
なんだよ…。
あんだけ結婚のことも批判してたくせに…。
まぁ…いいや！
「てめぇらの中にゃあ俺とクリスの結婚を気にしてるやつがいるはずだ！『なんで結婚すんだ！』っ…て思ってるやつもいるだろ！今ここで証明してやる！！」
俺は一気に言い終えたあと…クリスの方に向き直った…。
両手をクリスの肩に…。
俺はじっと見つめる…。
「なっ…何を…」
一瞬にして頬を赤く染めると、俺から顔を背けた…。
恥ずかしいのはわかるが…
「クリス…」
囁きかける…。
何がなんでも…俺を見てほしい…。
「うっ…」
俺の声を聞いておずおずと見ようとしたその瞬間…。
「んん…！！」
「んんぅ…！？」
俺は…あいつの唇にキスをした…
