118 まさに…虎の威を借る狐作戦!
俺の言葉に怯んだひとつ目野郎は、一瞬たじろぐもすぐに反撃してきやがった…。
「…てっ…てめぇな!んなもん言っても…信じられねぇんだよ!!その…フィール様に勝つとか…ふざけんじゃねぇぞ!あぁ!?」
んにゃろう…!
俺のこと弱いと思ってやがる…!
だったら…
「お前の目は節穴かよ!!?」
「はぁん!?」
「見せてやるよ…俺の本気ってやつをよ!」
俺はそう言ったあと、胸ポケットに潜んでいたキューちゃんへと小さい声で囁きかけた。
「キューちゃん!頼むぜ!」
「キュッ!」
その瞬間
シュゥゥゥゥ…。
モクモクモク…。
周りには白い煙がもうもうと立ち上がり俺たちを覆いつくした。
「なっ…なんだぁ!!?」
「どうなってやがる!」
「見えねぇぞ!」
民衆は混乱…。
突然の出来事に追い付いてねぇ…。
やがて煙が消えていき、俺たちの前に現れたのは…
「…ルォォォォォォ!!グルルルル…」
巨大化したキューちゃんだった…。
ものすんごい唸り声をあげながら目を光らせてる…。
「ふっ!?ひぃぃぃん!!?」
「なっ…こいつはぁ!!?」
「助けてくれぇぇぇ!!」
何人かのやつらはひっくり返る始末…。
まぁ…しゃーねぇ…な。
「どうだ!見ただろ!?俺はドラゴンを召喚できんだぞ!?」
「…うっ…!」
腰を抜かしながら恐怖の目を向けるひとつ目野郎…。
さすがに反抗する気も無さそうだ…。
「こいつはつええぞ!!そこら辺一体を火の海にできるしな!!その気になりゃ…てめぇなんか灰にできんぞ!?」
「ひぃぃぃ!!?」
どうよ…この『虎の威を借る狐』作戦!
ちょっとズルいが効果はバツグン!
キューちゃんの恐ろしさをここ一番で使うわけだ…!