117 人間の無茶苦茶な説教!?
ピョン…ドテッ…!
「っ…!?…いっ…てぇー!!ちくしょー!もうちょいかっこよく降りたかったってのに…」
竜車から飛び降りた俺は着地に失敗…。
足に猛烈な痛みが走ったが…そんなもんは後回しだ!
俺は激痛に耐えながらクリス達の元へ歩いていく…。
「にっ…人間の野郎だ!やっぱり生きてやがったんだ!」
「このやろう…!」
「ぶっとばしてやる!」
俺の登場により一層殺気立つ民衆のやつら…。
今にも飛びかかりそうな勢いだが…構いやしねぇ!
「ユキッ!なぜ降りてきたんだ!」
「ユキ様…突然何を…」
「…」
クリス、メーラはやや動揺している…。
予定通りの展開から外れてしまったわけだから当然だろうが…。
フィールは何か思うことがあるのか冷静だ…。
「皆…止めんなよ…あいつらには俺が直々に説教してやる!」
「ユキ様…しかし…」
なお俺を止めようとするメーラであったが…
ギュッ…。
「待て…メーラ…。あいつに任せてみよう…」
「フィール…」
メーラの肩をフィールが掴み、俺の行動に賛同してくれた…。
おそらく俺ならなんとかなる…そう思ってくれてんのかもしれねぇ…。
マジで…ありがとう…。
とりあえず…クリスの横にまで近づくと…
ギュッ…!
「!…なっ…何を…!?」
思いっきり手を握ってやった…。
さっきまで泣きそうだったしな…。
俺が勇気づけねぇと!
クリスの困惑に構わず、とにかく俺は声を張り上げることにした。
「おい!そこの見た目童貞野郎!」
「あっ…あぁ!!?んだてめぇ!」
でけぇ角を生やしたまさに野獣みたいなやつ…さっきまでクリスのことを馬鹿にしたそいつに向かって俺は罵倒しまくる…。
「決闘が出来レースだの…くだんねぇこと言ってんじゃねぇ!!俺とフィールの死闘を知りもしねぇで…どの口が言ってんだ!!?」
「この…やろ…!!」
「どうせてめぇもギャンブル楽しんでたんだろ!!そんなやつに言われたくねぇんだよ!俺たちのこと非難すんならフィールと戦ってみろ!マジでヤバイぞ!!」
「ぐっ…ぬうぅ!!?」
野獣野郎はぐうの音も出なかったのか…拳を震わせながら俺を睨んでいる…。
だが…俺の怒り…こんなもんでスッキリしねぇぞ!!?
「あと…フィールを買収とか言ってたてめぇ!マジふざけんな!」
「ふぁっ!?…こっ…こいつぅ!!」
今度の狙いはひとつ目の大男…。
緑色の巨体からは不気味さが…。
手に持っているこん棒からは恐ろしさが伝わる…。
下手したら殺されっかも…。
「フィールが…俺を見逃すようなやつに見えんのか!?フィールはなぁ…!!とんでもねぇバケモンなんだぞ!!俺も殺されかけたってのに…わかってんのか!?」
「てっ…ぎっ…ぐぅぅぅ!!!」
まぁ…『買収』ってのは当たらずも遠からず…だけどな…。
一応今回の説得に協力してもらってるわけだし…。
我ながら無茶苦茶な説教だ…。
はっきりいって理屈もへったくれもねぇ…。
馬鹿げてる…。
けど…このまま押しきってやる!!