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クロノス・アイズ  作者: farthest(ふぁーぜすと)
プロローグ -始まりの合図-
2/6

No.2

 ■



 風呂から出て、インストールついでにこのゲームについて色々と調べてみた。

 

 Kronos・Eyesは元々2013年、欧米で開発されたという。いわゆる「洋ゲー」である。サービス開始当初はそれが当たり前かのように人口は多くはなかった。


 その頃から「MMORPG衰退期」とネット、いや世界中で呼ばれていた。理由は、殆どのゲームに同じような仕様、設定、世界観が存在するからだ。何というか、「MMORPG黎明期」つまり2000年代前半に存在していたゲームを手本に作られているというのが多いそうだ。そりゃ、時間が経てば衰退もする。

結果、MMORPGをプレイする人が減ってきて別のジャンルのゲームに人が行ってしまう。というわけだった。


 それでもKronos・Eyesをプレイする人は少なからず存在した。そして次第に人口は増えたらしい。理由は、「Game・Back」が開発した新グラフィックエンジン「HyperDrive」の導入によるハイグラフィック化だろう。これにより、Kronos・Eyesは他のMMORPGより2歩綺麗で美しい世界を描いた。


 そして、2年後の2015年夏。未だに「MMORPG衰退期」と世界中で言われてるものの、Kronos・Eyesはオープンβという形で遂に日本に到来した。これには日本の洋ゲーファンも発狂に近い喜びが合ったという。


 数ヶ月後の2015年冬に正式サービスが開始された。やはり、人口はそれ程いなかったらしい。

 しかし、1年後の2016年冬のアップデートでKronos・Eyesは人気に火が付いた。理由は、新規サーバー追加や、新職業の追加、レベルギャップ65の開放、そしてKronos・Eyesを急激に加速させた「PvPモード」の実装によるものである。先程のサイトにも書いてあったように「PvPをしながらレベル上げ」が出来るのがゲーマーの心を刺激したのだろう。


 ゲーム人口は急激に増加し、数回のアップデートを経て今に至る。だそうだ。


 インストールの進行状況に目を移す。インストールがやっと50%を超えたようだ。

 マウスホイールを下に回していく。


 Kronos・Eyesには現在7つのサーバーがあるという。ちなみに2週間前の超大型アップデートで新規サーバーが一つ追加されたばかりらしい。サービス開始当初は、3つしかサーバーが無かったものの、アップデートを重ねる毎に次第に増えていった。取り敢えず、どこのサーバーでプレイするか考えてみようと、拓人はマウスホイールをさらに下に回した。


 すると、サイトにはこう載っていた。

1鯖クロノスサーバー   (全コンテンツユーザーが参加しやすい!人口多め!)

2鯖レアーサーバー    (ダンジョン、レイドをするならこのサーバー!)

3鯖オリンポスサーバー  (過 疎 鯖)

4鯖ニュクスサーバー   (全コンテンツユーザーが参加しやすい!)

5鯖エーオースサーバー  (PvPをするならオススメ!)

6鯖イカロスサーバー   (↑同様)

7鯖ゼウスサーバー    (新規オススメサーバー!全コンテンツに参加しやすい!人口多め!)


 だそうだ。ちなみに「鯖」というのはネットで使われる用語で「サーバー」の意味を持つ。

 見たところ、新しく追加されたゼウスサーバーが僕には合ってるのだろう。


 「ゼウスサーバーにしとくか...」

 静寂にも等しい声で拓人は言った。


 次にMMORPG特有の「職業」について調べてみることにした。

 マウスホイールを下に回す。

 すると、こう載っていた。


 「Kronos・Eyesでは最初に1つ、職業を選択出来ます。そしてLv20に到達した時に、2つ目の職業を選択出来ます。」だそうだ。


 現在Kronos・Eyesには8つの職業が存在するらしい。職業を2つ選択出来るっていうのもどこか斬新である。と僕は思った。どんな職業があるのかと、拓人は更にマウスホイールを下に回す。


 すると、こう載っていた。

ソルジャー  (近接攻撃系。攻撃速度を活かして連続攻撃!)

サモナー   (モンスターを召喚して共に戦おう!)

アーチャー  (遠距離攻撃系。弓で遠くから敵を撃ち抜こう!)

メイジ    (後方から魔法で敵を撃ち倒していこう!)

ファントム  (敵に幻を見て見せて足止めさせ、状態異常を使おう!)

ウォール   (防御力を高め、前衛で仲間を守るぞ!)

セージ    (仲間を支援、回復!)

バード    (楽器で仲間のステータスを強化!)


 だそうだ。職業については今後のアップデートで追加していく予定だという。物凄くどうでもいいけど、「!」を無理やり載せているところが何というか笑いが後からジワジワ来る。

 

 「取り敢えず最初はソルジャーにしとこうかな。アーチャーも良いけど、敵を撃ち抜くのはFPSだけで十分だ...」ボソッと拓人は呟いた。


 インストールの進行状況に目を移す。どうやらやっと、インストールが終ったようだ。

 「インストールが終ったよ!」とオレンジ色をした熊みたいな2等身のキャラクターがそう言った。恐らく、このゲームのマスコットキャラだろう。まさかボイス付きとは思わなかったので少しビビった。

 

 画面に写っている「GAME START」という文字に思わず一瞬手が止まる。ああ、懐かしい。FPSを初めてプレイする時のこのワクワク感。何年やるんだろう。どこまで行けるだろう。色んな気持ちがあの時あった。その気持ちが再び蘇る、と思うと更にワクワクする。

 

 一瞬の静寂の後、僕は「GAME START」のボタンをクリックした。


 「ゲーム・スタート!」

興奮のあまりこんな事を言ってしまった。一人暮らしで良かった。

よく考えて見れば、ネトゲなんて2週間ぶりだった。僕が選んだこのゲーム、そして僕の見込みが正しい方へ向いてくれれば良いのだが、まあ後からMiyoも来るから"最初"は心配ないだろう。


 少し時間が経つと画面には真ん中にKronos・Eyesのロゴが映っていて、その後ろには4つの大陸が見える。そういえば、最初は4つある大陸の中から、1つ大陸を選択しその大陸の初期地点から冒険出来るんだっけ。大陸はそれぞれ東西南北に位置している。それぞれの大陸の名称はそういえば見てなかった。


 サーバーを選択する画面に来た。それぞれのサーバーの混み具合が「快適」「混雑」ではっきりわかる。と言っても「快適」と表示されてるのは3番目のオリンポスサーバーだけだ。本当に過疎状態らしい。

 

 拓人は迷わず7番目の「ゼウスサーバー」を選択する。

 すると、名前や性別、フェイスパターンを選択する画面まで来た。

「名前はFPSでやってた時の名前でいいか。」

 元FPSプレイヤーはボソッと呟いた。まさかMMORPGでTryShotのプレイヤーに会うことは無いだろう。拓人は迷わず「Ta910」の名を入力した。自分で言うのも何だが、結構地味な名である。


 性別は男。身長は170cm程度。その白い髪でRPGの主人公みたいに正義感が強そうな黒い目は、現実の拓人の姿からは相当離れていた。当然だ。こういうところを楽しむのもゲームという物だ。


 次に職業の選択だ。先程調べたように職業は2つ選択出来て、キャラ作成の時とキャラが20レベルに到達した時に選択出来る。前もって何の職業にするかは決めている。近接攻撃型の「ソルジャー」だ。拓人は迷わず、「ソルジャー」を選択する。


 最後に初期地点の選択だ。それぞれの大陸に名前が表示されている。北の「ウラノス大陸」、南の「ポセイドン大陸」、西の「テュポネ大陸」、東の「ガイア大陸」だそうだ。4つの大陸の真ん中に小さな島が見えるが、名前は表示されていない。いつか訪れるのだろう。拓人は数秒迷ったが、やがて北の「ウラノス大陸」を選択した。ウラヌス大陸の初期地点は大陸の中央よりずっと北の位置「空の村」にある。


 そして、遂にゲームが始まった。 

 と思いきや、チュートリアルが始まった。

 そういえば、完全にチュートリアルの存在を忘れてた。

 えぇ...と呆れた声で言った。もちろん一人で。


 冒険はもうすぐ始まるようだ。

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