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ここまでのあらすじ&四月一日嘘更新アーカイブ

 四日目・五日目のあらすじと、四月一日に行った、嘘完結更新のアーカイブです。

 三日目までのあらすじを読みたい方は、こちらをご覧ください。

http://ncode.syosetu.com/n6038bw/48/


 また、この嘘完結は、「マイナス九万九千九百九十六日目」と「三日目(改)」の間に書かれたものです。

<四日目・五日目のあらすじ>

 駆け出し冒険者としての第一歩を踏みだそうとした途端に、ダンジョンに放り込まれてしまった、青年剣士グルーム・ルーム。

 そこには彼と「結婚する」という、花嫁候補の美女モンスターが、三匹いた。

 気さくなアンデッドのゴシカ・ロイヤル、高圧的な獣人の女医Dr.レパルド、ドジっ子メイドゴーレムのエ・メスだ。


 この三匹と共に暮らす、奇妙なダンジョン同居生活は、当然のように波乱の連続。

 その過程で盗賊ピットという仲間を得たり、「七日以内に花嫁候補のモンスターの誰かと結婚すること」という悪魔の契約を取り交わされたり、転生チートと一悶着あったりなど。

 様々な生死の危険を感じつつも、グルームは少しずつ、モンスター娘たちと打ち解けていく。

 だがある日、事件は起こった。

 怪力と頑丈が取り柄のメイドゴーレムであるエ・メスが、倒れて動かなくなってしまったのだ。


 モンスターの一時的な死を目前に、動揺が隠せないグルーム。

 自分の気持ちに整理がつかないままに、『全ての願いを叶えうる宝』こと、時間を行き来する装置の使用権利を与えられた彼は、仲間の制止を振り切って「エ・メスを助けに昨日に戻る」と決意。

 花嫁候補のモンスター娘や、仲間だった盗賊の手を借り、どうにかこうにか化け物スペックの転生チートをやりすごし、エ・メスを助けて帰還する。

 しかしその過程で、「このダンジョンには放置できない要素がいくつかある」と、一度は追い払ったはずの王宮宮騎士団や神殿に、新たな疑いの種をまいてしまう結果となったのだった。


 また、この『全ての願いを叶えうる宝』の使用を機に、グルームには時間を教えてくれるカウント女神が張り付くこととなる。

 自分の幼少期に約束したと思われる、謎の少女との「結婚しようね」の約束の夢も、グルームの胸に謎の一つとして刻み込まれることとなった。


 日が明けて、五日目。

 エ・メスは無事救いだしたものの、仲間であった盗賊とは関係を解消し、借り物の魔法の剣は壊れてしまい……。

 新たな問題をいくつか抱えつつ、モンスターと結婚させられる期限も残り二日と迫り、否が応にも焦りを感じるグルーム。

 そこに提案される、花嫁候補三者による、ダンジョン内爆走騎乗レース。

 このレースの観戦料と掛け金で稼いだ金で、魔法の剣の弁償を行おうという提案が、ダンジョンマスターや行商人から、半ば強引に付きつけられる。


 拒否権のないグルームは、しぶしぶこれに応じる。優勝者は賞品の旦那様と一夜を共に過ごし、既成事実など作り放題だ。

 かくして始まった、花嫁候補対抗レース。レースとはいえ、足の引っ張り合いも直接妨害もなんでもござれ。

 各花嫁候補が率いる、ダンジョン内の魔界勢・野生勢・DM勢が、応援と罵声を浴びせ合いながらの進行となった。

 それぞれの陣営の敵対意識も浮き彫りになる中、このレースを制してトップとなったのは、Dr.レパルド。

 けだものの一夜をグルームと過ごすことを、いつにない上機嫌で宣言して回るが、「これじゃペットに芸をさせて上前ハネてるみたいだろ」の言葉に、激昂。

 危うくグルームを刺し殺しそうになり、「そもそもわたしは人間を殺すつもりだった、人間が憎い」と宣言して、獣人は去ってしまう。


 無理やり飲まされた薬で一命を取り留めたグルームは、「どうしてレパルドがあんなに怒ってるのか聞いて欲しいの」と、獣人がこのダンジョンに来るまでの間にあったことを、ゴシカの口から聞かされる。

 レパルドは幼少期、人間のもとで大切なペットのように育てられ、ある日怒りのもとにそこを抜け出し、人間に勝利するために知識を集めていたのだということを、グルームは知った。


 そして日付が変わる直前。レパルドと一夜を過ごす権利を遂行するために、この獣人と十分ほど二人きりにされた、グルーム。

 身の危険を感じながらも、不用意な発言については頭を下げ、謝ることに。

 エ・メスを助けに行った昨日の出来事などを思い起こしつつ、「もしかすると俺はもう、お前たちをただのモンスターとして見れなくなってるのかもしれない」と正直に告げ、メガネを拭くためのハンカチと、他の花嫁候補の気持ちのこもった置き土産を置いて、グルームはその場を去る。

 月明かりに照らされた樹の影で、一人残るレパルドの喉が、小さく鳴っていた。


 こうしてダンジョン生活は、六日目に突入した。

 明日にはもう、三匹の花嫁候補の誰かと、結婚しなくてはならない。

 さもなくば、飲み込まされた悪魔の契約文が、グルーム・ルームの腹を突き破り……?



<四月一日嘘更新アーカイブ>


「よし、脱ごう」

 そう言いながらレパルドは、おもむろに胸のジッパーを降ろし始めた。

 白豹柄のキャットスーツの下に隠れた浅黒い肌が、ヘソまであらわになっていく。

「……は? な、何してんだレパルド」

 獣人美女の地肌が目の前にさらされていることで、俺は本来ドキドキするべきところなのだが、状況が唐突過ぎて興奮する余裕もない。

 俺たちは三日目に戻ろうとしていたところだったはずだ。意味がわからない。


「ふむ。わたしも意味はわからないが、これもポイントのためなのだ」

「ポイント?」

「恐らくこれでは文章評価にはつながらないだろうが、ストーリーにはポイントが追加されるかもしれんな。おい人間、わたしは何を言っているのだ?」

「……いや、俺にもわからないけど……」

 先ほど俺が見た、時間移動の幻のようなものが、レパルドにも見えているんだろうか。

 首を傾げながら、視線をゴシカに向ける。

 するとこのアンデッドの女王は、履いているシアータイツを脱ぎかけていた。


「こっちもか!? な、何で脱いでるんだゴシカ!」

「だってポイントもらえるらしいから!」

「……ポイントって何だ……?」

「華奢で透き通るような白さの太ももが、脱ぎかけの黒のタイツと見事なコントラストになっているでしょ! グルーム!」

「何、言ってんのゴシカ?」

「あたしもわかんない。でももしかしてグルーム、こういうの脱がないほうが好き?」

「え、あ……あのさ。とにかく無意味に脱ぎ始めるのをやめようよ、みんな」

 奇妙な状況と珍妙な質問に追い詰められながら、俺はがんばって正論を言う。

 どういうことだこの状況は。とにかく仲間を増やそう。そうだ、ピットだ。あのいけ好かない盗賊小僧を味方に引きこもう。


「ここは花嫁候補の見せ場……。あなた様は、大変……邪魔にございます……」

「ぎゃっ」

 ところがピットは、降って湧いたメイドに捕まえられ、どこか遠く遠く認識できない果ての果てまで投げ捨てられた。

 その不遇ぶりにも驚いたが、それよりもっと驚いたことがある。

 今ピットをぶん投げたのは、メイドゴーレムのエ・メスだ。


「エ・メス! お前、げ、元気なのか?」

「いいえ、ご主人様……。わたくし、このポイント稼ぎの火急の事態に応じまして……。少し戻ってきただけに……ございます」

 彼女が頭の上を指し示すと、そこには天使の輪が浮いている。


「な、なんだその……。すごく記号的な、『死んだ奴が現世に戻ってきてますよ』っぽい輪っかは……?」

「……わたくしも、存じ上げません……。そもそもわたくし、別に死んでいるわけではございませんので……。必要ありませんね、これ……」

 エ・メスは自分の頭の天使の輪をガシっと掴み、どこか遠く遠く認識できない果ての果てまで投げ捨てた。

 遠くのほうでそれが刺さった盗賊の「ぎにゃー」という叫び声が聞こえた。天使の輪ってチャクラムに似てるからしょうがない。


「ポイントを稼ぎませんと……。結婚が、出来ないのです……」

「は?」

「そういうことだ人間。こういうやり口はポイント増加には逆効果かもしれないが、背に腹は代えられない事態なのだ。わたしは何を言っているのだ?」

「だからお前がわからないことを俺に聞くなって!」

「ご主人様……実はわたくし、このスカートの下は……。メイドらしく……ガーターなのでございます……。こうなったらわたくし、もうこれをお見せするしか……」

 エ・メスは俯きながらスカートの裾に手をかけ、ゆっくりとそれを持ち上げようとする。


「ま、待て待て待て!」

「ゴーレムが上に持ちあげるのであれば、わたしは対抗して下に降ろそうではないか」

 ジッパーに爪を引っ掛け、更に脱衣を加速させようとするレパルド。胸が今にも零れそうだ。

「対抗意識やめろって! お、おい」

「ねえグルーム、タイツを破るとかはあんまり好きじゃない方かなあ?」

「なんでゴシカは傾向がフェチっぽいの!? 俺に聞かれても困るんだけどそういうの!」

 戸惑う俺をよそに、花嫁候補三人はそれぞれアピールを続けた。


「我々の結婚にはポイントが必要だったのだが、この様子では規定値に達さないようだ。最後の手段を使っては見たが、もう手遅れだな」

 レパルドは女豹のポーズでにじり寄り、猫手で眼鏡をくいっと上げる。


「わたくし、非常に中途半端な状態でお話を終えることとなってしまい……。これ以上を、お見せすることもかなわず……。残念に、ございます……」

 エ・メスは傷ひとつ無くなった美しい背中を見せ、スカートの裾をつまみながら、憂いを帯びた横顔を見せた。


「結婚にポイントが必要だなんて、あたし知らなかったなー。みんなもポイント、溜めた方がいいよ?」

 ため息をついて骨の玉座に座り込み、ゴシカは脚を組み替える。ドレスから伸びた妖艶な脚は、そのまますっと天を指した。

 彼女の表情が、女王のそれへと一変する。

「負の眷属の力では、届かぬ高みもあろう……。さらばだ、死の臣民よ」


 ゴシカが振り下ろした脚の先から、ブーケトスならぬヒールトスが飛んで行く。

 ダンジョンの壁や天井に当たり、跳ね返った黒のハイヒールは、結婚式場にぶつかって止まった。ガラガラと式場は壊れ、洞窟も落盤に埋まっていく。

 ゴシカ・ロイヤル、Dr.レパルド、エ・メスの、花嫁候補三匹のサービスシーンは、崩れゆく瓦礫の山に埋もれて見えなくなった。残念、ポイントが足りなかったかららしい。

 だからポイントって何だ!!


 結婚騒ダンジョン・終わり。

 未婚。

 『六日目』の更新は、明日から行われます。

 勿論ポイントが入らなくても、終わりませんのでご安心を。

 トリック・オア・ポイント!(結局ポイント欲しがりオチ)(ハロウィンだから仕方ないよね)

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