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第二話~学級委員長として~

「んじゃあ、気を付けて帰れよ」

奥地先生のこのこの一言で、皆は教科書等を鞄に入れ、帰宅の準備をする。

俺も体育で使った、体操服を鞄に入れ、立ち上がる。

「あ、矢澤君、ちょっと待って!」

驚いた。

と言うのも、あの体育の時間以来俺は完璧に孤立してしまったから。

俺に話しかけてくるやつがまだいたとは。

声のした方へ目をやるとそこには、山口さんがいた。

「ど、どおした?」

「この後ね、仕事があるからって、学級委員長は教室に残ってほしいって、奥地先生が言ってたの」

「はぁ…」

「よろしくね!」

山口さんは笑顔でそう言い残すと、また、自分の友達の所へ向かった。

仕事かあ…

嫌だなぁ。したくないなぁ。どうしようかな。

俺は一刻も早く家に帰って、妹の笑顔で癒されたいのに。

かといって、山口さん、いや、女の子一人に仕事を押し付ける訳にはいかんし…

「おっ、いるな二人とも」

いつの間にか、教室には俺と山口さんと奥地先生の三人しか居なかった。

「じゃあ、早速だが、この書類を順番に並べてホチキスでとめてほしい。順番は書類の右上に1~4まで番号が書いてある。その通りにやってくれ」

教壇には1000枚はある紙の束が置かれていた。

教壇へ行き、書類を一枚一枚確かめる。確かに、右上に番号が書いてあるが、全部バラバラだ。いちいち、紙を1~4の順番に並べてはホチキスでとめる作業をしていたら、日がくれる。

俺は先生の顔をみた。

「ん?なんだ?文句でもあるのか?」

うぜぇ。一生分のストレスがたまりそうだ。

「ないみたいだから、先生はもう行くな。頑張れよ」

と言い残し、先生は立ち去った。

俺がぽかーんとしていると、山口さんに肩を叩かれた。

「ちょっと量多いけど、一緒に頑張ろうね!」

ああ。

頑張りますよ…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

もくもくと作業が進み、残り半分まで達していた。

いや、まだ半分残っているのだ。

「さすがにちょっと疲れちゃったね」

「そうだな…」

疲れたなんてもんじゃない。

目がチカチカしてきて、手が痛い。

後、前にすごい美女がいるから緊張する。こういう作業は、アクビをしながらだの、屁をこきながらだのするもんだ。それができない。お陰さまで、屁が尻穴に行ったり来たりしている。

こういう時いい方法がある。普通に外に出て屁をする。芸がない。

それじゃあどうするのか。見せてやろう。

俺は座っている椅子(いす)を徐々に後ろへ引きずらせる。

椅子の4本あしと床に生じる摩擦で、結構大きめの音がでる。

よし、今だ!

俺は尻に力をいれて屁を出そうとする。

………出ない。

「おっと」

椅子を移動させた所にワックスが塗られていたのか、いきなり椅子が物凄い勢いで後ろへ移動する。

ヤバい転ぶ!

そう思った俺は素早く両腕で机につかまった。

滑っていた椅子は止まり、何とか転ぶ事を阻止できた。

危ない、危ない。

カッコ悪い所を見せるとこだったぜ。

「えっ、だいじょう「ぷ~っ。ぷぷっ。ぷぅ」

緊張が途切れたせいか、最悪のタイミングで屁が出てしまった。

しかも三連発。

「…………」

「…………」

白けきった空気が教室を包み込む。

とりあえず、椅子を前に移動させ、体勢を整える。

「い、今のってまさか…」

山口さんが苦笑いで聞いてくる。

「ち、違う!椅子の音だよ。ほら!!」

俺は再び座っている椅子を後ろへ引きずる。




「ギギー、ギーギー!!」



「………」


無理があったようだ。

ん?

あっ、そうだった。

ワックスの存在を忘れていた俺は今度こそ椅子を後ろへ持っていかれ、頭を机に叩きつけながら、盛大に転んだ。

「あ、あのお…」

山口さんが心配そうに俺を見下ろす。

大丈夫だ。たいした怪我じゃない。

そう言おうとしたら、山口さんが笑顔になって口を開いた。

「内緒にしとくね」





……ああ。

是非そうしてくれ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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