第一話~LHR(ロングホームルーム)にて~
体育館を出てそれぞれのクラスへ移動した。
黒板に書かれているバカっぽい文字で俺達の入学は歓迎されている。
机の上には百均で買ってきたとしか思えないほどの安っぽいプラスチック製の花が置かれている。
はぁ。これか。
はっきり言って要らん。学校で配ってくる保健だよりのプリント、校内新聞並みに要らん。
こういうやつは結局ゴミになるだけだ。
自分の出席番号の書かれている机をさがそう。
30番…30番はっと
おっ。あったあった…
俺の机の位置は窓側の一番うしろにあった。
…ん?
俺の机の上には何故か花が置かれていなかった。
ど、どこだぁ!!ぼ、ぼくの花はぁっ!?
俺は必死に回りを見渡した。
そしてすぐ見つける事ができた。
右隣にいる不良3人組がちぎって遊んでいる。
この野郎。いつもならぶっ飛ばしてでも取り返すが…
まあ、今日は入学式だ。
高校生活初日に暴動事件を起こす訳にはいかん。
けして不良だからとか、3人いるから怖じ気づいた訳ではない。
けしてない。
ここは俺が一つ大人になって前の席に置いてある花で我慢してやろう。
「お~い皆、席につけ」
うちのクラスの担任らしき人が教室に入って来た。
この声はまさかな…
声のした方へ視線をやる。
目があったがすぐにそらしてやった。
糞。
アイツだ…
あの豚だ。最悪…
「えっと、僕が今日からお前達の担任をやる奥地草井だ。なんかあれば何でも頼れよ。僕もお前達の事を知りたいから軽く自己紹介してくれ。名前と趣味だけでいい。まず出席番号一番から」
いい名前してやがる。
こいつの両親とは仲良く出来そうだ。
しかし、自己紹介ほどめんどくさいものはない。
いや、名前を言う事じたいは苦ではない。
問題は趣味の方だ。
何もない。無難に読書といってもいいが、なんか味気ない。
どうしようかと迷っていると、いつの間にか順番が俺の前の人まで来ていた。
「名前は前田咲花。趣味は読書です」
「あれ?お前の花はどこにあるんだ?」
奥地先生は前田さんの机の上を指さしながら聞いた。
「さぁ?わかりません。来た時からありませんでした」
「そんなはずはない。先生達は昨日から何度も抜かりはないか確認してきたぞ。おい誰か、前田の花を知らんか?」
花ごときでうるせえな。
今はそれどころじゃねんだ。早く趣味を決めないと俺の順番が…
ん?
花?
あっ。それ、俺だ。俺が取ったんだったわ。
やばいなと思っていると、隣の席の不良が手をあげた。
「ん?なんだ新島、心当たりがあるのか?」
「それならこいつが盗んでました~」
新島は俺を指さしている。
俺の顔を見るとたちまち奥地の表情が鬼の形相に変わっていく。
「ま、ま、ま、ま、またお前か~!!!」
またってなんだよ。人を常習犯見たいに言いやがって。
だいたいこれには立派な言い分があるんだ。
この新島という野郎と愉快な仲間達があんな事しなければ…
だけど責任の擦り合いは好きではない。
ここは俺がまた一つ大人になって良い言い訳を考えてやろう。
まず〔先生、隣の芝生ってのはあおくみえるもんです〕で始めよう。
「しえんしぇい、と、隣のしばttaあおく…」
やばいっ、かんでしまった。
「隣の柴田?お前の隣は新島だぞ?大丈夫か?」
先生がかわいそうなやつを見る目で俺を見ている。
いや、先生だけではない。クラスの人達も同じ目だ。
ただ一人、天然パーマのあいつを除いて。
そう、例の変わり者である。
めっちゃキラキラした目で俺を見ている。
ち、違う!!俺はお前と同類じゃない!!
こっちを見るな!
けどちょっと可愛い…




